「健康を保つのはもう運動と食事だけだと思うんです。そこに規則正しい生活というのがあるんですけど、それは個人個人の生活のパターンがありますから、そんなのまで『変えなさいよ』とは言えないですけども。
食事もただ『出てくるものは何でも食べる』ということ。強いて言うと、一般的に言われているように、牛肉とか豚肉よりはお魚のほうがいいような気がしています。それと今の子供には無理ですけども、お腹いっぱい食べるより、粗食のほうがやっぱりいいなと思います。私の母親でも、たとえば明治時代に生まれた人は、人によっては非常に長生きしたり、すごく丈夫な人がいるわけですね。
高校生の時分ぐらいから、田舎でも牛肉とか豚肉が出回ってきました。それまで何を食べてたんかなと思うぐらい、食べ物の記憶がないんですね。ですから肉を食べたのは本当に年に何回とか、そんな程度。」
「香川県ですから、さぬきうどんというのはごちそうなんですよ。昔はどこでも自分の家でさぬきうどん作っていまして、鍋で煮て味噌仕立てなんです。非常にごちそうでした。
その頃の百姓の生活の知恵といいますか、用水路にドジョウとか小魚がいっぱい泳いでいるんですけども、そのドジョウと一緒にうどんを煮込むわけなんです。『今日はうどんがあるな・・・』というときは朝からわかるんです。おばあさんが用水路に行ってざるですくってくると、簡単にドジョウがすくえるんですね。それをバケツに入れて、夕方まで泥を吐かせるのです。
ですから質素な生活なんですけども、ちゃんとドジョウでタンパク質を取っているわけなんです。なかなか生活の知恵やなと思いましたけども。めったにうどんも食べませんからうどんを食べたいんですけども、『ドジョウを食べないと次のおかわりは、あげませんよ』と言われてね。ドジョウなんて少々煮たぐらいで、そんな食べられるもんじゃないです。グロテスクでぬるぬるしてるし、背骨はものすごく堅いですね。ですから目をつぶってそれを飲み込んでおかわりをもらったりしていました。そういう生活ですね、子供のときは。
そういう生活が続いたら、おそらく健康でいたんだと思いますけどね。野菜は自分の所で作るから、いろんなものありますから。たとえばきゅうり、トマト、ジャガイモ、サツマイモ、ネギとか。だいたいありましたね。セロリとかそんなものはなかったですけどね、ありふれた野菜はだいたい農家で作ってましたから。」
「お米もあまり食べないんですよ。百姓で自分のところは米を作ってるんですけども、私が物心つく頃は、お米に麦が4割か5割ぐらい入ってるんです。そういうご飯をとにかく食べるわけですよ。戦争に負けてから、だんだん食生活がよくなってきて、でも3割ぐらいは必ず麦を入れていました。3割麦が入ったら、とにかくあんまりおいしくないですよ。半分以上は麦が入っているみたいな感じがするんですけどね。白米だけを食べるのは、葬式のときとか、結婚式のときとか、正月とか、そのぐらいしか食べなかったです。でも白米だけを食べるよりも却ってそのほうが、麦が3割くらい入っているので脚気にもならないし、健康だったんだと思います。お米でも1粒でもおろそかにできなかったぐらい、しつけを受けましたね。
そういう生活を続けるほうがやっぱり体も太り過ぎにもならなくて、健康を保てるような気は、身をもって体験したというかね。30歳過ぎぐらいのときから脂っこいものが好きだとか、いろんなものを食べたりする生活になってきました。
ですから、そういう質素な生活をするとか、(偏食ではなくて)いろんなものを食べるとか。それと運動、これは絶対に必要ですね。そのふたつぐらいです、人に健康を保つ秘訣として言ってあげられることはそれぐらいしかないです。」
「運動は、急激な運動じゃなくてスローな運動ですね。私の場合はウォーキングとか山歩きとか、そういう運動ですけども。どんな運動でも、とにかくずーっと継続するということが大事だと思います。」
「高校で3年間ずっと寮生活をしていたんですけど、だいたいその頃ぐらいから夜型のタイプになっていったというか、もともと睡眠がしにくいというか。血圧が非常に低いというのもあり、なかなか寝つかれないということもあって、自然と起きている。それがだんだん夜のほうにシフトして、それが働いている間もずっと続いていたということです。」
「夜は1時、2時まで起きていても平気なんですけど、今は家が狭いから、だいたい12時ぐらいに寝るようにしています。午前中は起きていても、まだ体にエンジンがかからないという状況で、夕方になるとだんだんすっきりして仕事がはかどるという生活習慣が昔からあって、そういうふうになりました。」