「がん患者を診療している医師がひとりでも多く、WHO方式という治療法があることをまず知ること。そしてそのWHO方式を示す『がんの痛みからの解放』という本を一度きちんと熟読しておくこと。約1時間で読み切れます。その本をいつも手元に置いて活用していけば、そのお医者さんの診ている患者さんは痛みがとれていきます。それを全部のお医者さんがしてくれれば、日本中の患者さんが痛くなくなるはずです。

そうすると僕は日本人の死の文化が変わると思うのです。がんという病気は即死しない病気です。他方、治る場合でも何年かかかりますし、もし生命にかかわる場合でも、月・年単位の病状経過をとる病気です。治る過程でも痛みがあったり、治った後も痛みが起こったりするのもがんの特徴ですから、常に痛みというものを治療してもらおうということです。

今、『痛みがとれると人生の総決算をする期間が十分にある』と考える方が出てきています。そういう方たちは、『ちゃんと痛みの治療をしてもらえるのなら、死因はがんがいい・・・』と言っています。日本人全員がそういうふうに言い出すようになると、がんについてばかりでなく、死に対する考え方が変わってくるのではないかと思います。」