がんと向き合う

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山内 梨香さん
山内 梨香さん ①
(やまうち・りか)
看護師
盛岡市在住。2005年末、32歳のときに乳がんと診断される。手術後、骨と肝臓に転移するも、抗がん剤、放射線治療、ホルモン療法を経て、順調に回復(その後の経過はこちらをご覧ください)。現在は仕事にも復帰し、看護師として患者さんの身体と心のケアにあたっている。2008年に自らの闘病体験をつづった『がけっぷちナース がんとともに生きる』が2009年3月に飛鳥新社より新装刊。ブログ:「生きてる喜び日記
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1石ころのようなしこり

「乳がんになる半年ぐらい前(2004年秋)に、胸に痛みを感じて乳腺外科の先生の所に行ったのですが、そのときはしこりがマンモグラフィではみつからず、『30歳を過ぎるとホルモン(エストロゲン)のせいで痛くなることもある』と言われて、それで少し様子をみていました

半年後の春、しこりが“こりっ”とその痛かった場所にできていたのです。うちの彼がみつけて『何かあるよ』ということで触ってみると、本当に石ころのように硬いしこりが触れました。『これは、なにか悪いものかもしれない』と思ったのですが、なかなか病院に行けず、かかりつけの乳腺専門医の所に行けばよかったものを、仕事を休んで行くほどでもないし、と理由をつけて、怖くて3ヵ月ぐらい行かなかったのです。

たまたま別の病院の先生に診ていただく機会があり、そこでしこりを検査したところ『良性』と言われました。自分でも誰かに良性と言ってほしかったので、そこでまた少し安心して病院に行きませんでした。

約3ヵ月後(2005年9月)、夜寝ていたらものすごく差し込むような痛みがおっぱいを襲い、夜中に目が覚めてしまいました。私は腰が痛くなるとよく坐薬を使っていたのですが、そのときは坐薬を入れても眠れないぐらい痛みが強く、これは何かおかしいと自分で思い、次の日にかかりつけの先生の所に行き、検査をしてもらいました。それで『ホルモンのせいかもしれない』ということで2週間ぐらい様子をみていたのですが、しこりがどんどん大きくなり、11月にはもうそのしこりのところがへっこみ、えくぼのようになってきました。教科書を見ても何を見てもこれは『乳がん』というところに書いてある状態で、もしかして悪いものではないかという気持ちが強くなってきました。

先生も『これはおかしいな』ということで、11月にもう1度細胞を取って検査をして、2週間後に検査結果が出ました。もしかしたら悪いものかもしれないという気持ちもありましたし、ひとりでそれを受け止められる自信がなかったので、看護師である親友について来てもらい、私の悲しみを半分にしてもらいました。」