がんと向き合う

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山内 梨香さん
山内 梨香さん ①
(やまうち・りか)
看護師
盛岡市在住。2005年末、32歳のときに乳がんと診断される。手術後、骨と肝臓に転移するも、抗がん剤、放射線治療、ホルモン療法を経て、順調に回復(その後の経過はこちらをご覧ください)。現在は仕事にも復帰し、看護師として患者さんの身体と心のケアにあたっている。2008年に自らの闘病体験をつづった『がけっぷちナース がんとともに生きる』が2009年3月に飛鳥新社より新装刊。ブログ:「生きてる喜び日記
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8弱り目にたたり目―痛い治療費

「お金はすごくかかりました。この間ざっと計算したら2年弱で200万円(正しくは250万円)近くかかっていました。保険がきいても最初乳がんの手術は30万円ぐらいかかり、そのあと抗がん剤治療で1週間入院すると7、8万かかり、それが5回なので40万円ぐらい、プラスかつら代。放射線治療は1回4000円が25回で、だいたい12、3万円ぐらい。最初の標準治療だけでも90万円近くかかっています。保険がきいてもそれぐらいは自腹で出さなくてはなりません。高額医療費は戻ってくるとしても、高額医療費は入院でないと適用にならないので、外来でかかった分は全部自腹になります。保険がきいても10万円ぐらいは自腹で出さなければいけません。

貯金は少しはしていましたが、すぐになくなりました。うちの父に援助していただいたところもあります。あと、がん保険に入ろうと思っていたときにがんになってしまい、普通の医療保険しか入っていなかったので、がん保険のCMを観るとすごく悔しくて、『入っておけばよかった』と思います。うちの父が私のがん保険に入っていたらしいのですが、私が盛岡市の病院に入ったということで、抜いたらしいのです。抜いた直後に私ががんになってしまい、『痛かったなー』と言っていました。

まず働けるうちは働いて医療費を稼がないと、薬代のために働かないと、という気持ちがあります。命には替えられないと思い、頑張って払っていきたいと思っています。

休みが取れずに、『働けないのなら、もうクビですよ』という企業があると思うのですが、そこで仕事を辞めてしまうと本当に弱り目にたたり目というか、どんどんお金が出て行くばかりでたいへんです。子供さんがいたりすると、自分のためだけにお金は使えないでしょうし、若い方だとそれほど貯金がないでしょうし、だからやはりがん保険は必要だなとすごく思いました。

医療費はもっと安くなればそれに超したことはないと思うのですが、かつらとか弾性スリーブ(リンパ浮腫防止のために腕につける治療用装具。2008年4月から保険適用)とか、補助的なものがすごく高いのです。かつらは人毛のいいものを買ったので30万円しました。こんなに医療用のかつらを使う人が多いのに、なぜ値段がこんなに高いのだろう、保険をきかせてくれればもっと安く済むのにといつも思います。それを厚生労働省にお願いしたいなといつも思います(参考情報:医療用かつらデイリーサービス)。」