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山本千佳子さん
山本千佳子さん
(やまもと・ちかこ)
MRCミツイリボンクラブ 代表
東京都在住。43歳のときに乳がんと診断される。全摘手術および乳房同時再建術を受け、1年間のホルモン療法を経て現在に至る。乳がん患者をサポートしたいという思いから2003年にMRCミツイリボンクラブを設立、代表を務める。2006年に乳がん患者さんとご家族の心のアンケートをまとめた絵本『BE HAPPY』を発行。
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3入院してホッとする

「(入院してからは)リラックスしていました。もう、胸の痛みもどこかへ行ってしまったみたいでした。皆さん胸が痛いとおっしゃいますが、多かれ少なかれ不安が痛みに変わるのではないかと思いました

私は変なところで頑張るのですが、手術の次の日に『あ、アイスクリームを買いに行こう!』と計画を立てました。それが達成できるように頑張るのです。手術の痛みももちろんありますし、術後の麻酔が効いているような効いていないような気持ち悪い経験ももちろんありますが、それよりも次の日に元気になって売店に行ってびっくりさせてみようとか、そういうことを考えたりして、入院してからはかなりリラックスしていました。」

●両方の乳房を手術

「1回目の手術の日、実は右側にも乳がんがあるということで、左側は全摘、右側は温存という形で両方同時に手術したのです。左側は同時再建でエキスパンダーという拡張器を先生が入れてくれました。そのあと、温存した方の部分摘出したものを病理に出した結果、右側も温存には向かない乳がんであったので、1ヵ月後に2つ目も切りました。1つ目の全摘から1ヵ月後だったので、そのときは両方ということで痛かったです。

ジェットコースターのように、両方(の乳房)がなくなっていってしまい、最初はルンルンだったのが、2回目は少し応えてションボリしていたのではないかと思います。それにしても2回目の手術も、病院から電話をいただくまではもうやはり辛くて、いつ電話が頂けるのだろうかと。『病院のベッドが空き次第、連絡します。それはいつかはわかりません』ということでした。それは医師が悪いとかそういうことではなくて、たまたまそういう都合だったのだと思いますが、気持ち的に辛かったですね。」

●同時再建に安堵する

「もうひとつ私の中でポイントが高かったのは、主治医が同時再建を勧めてくれたことです。私はもともと乳腺が大きく、なんらかの形でリカバー(修復)しなければいけない胸の大きさでした。最初の病院でも主治医に再建の話をしたのですが、なかなか賛成してもらえず、『乳がんの手術をする時はそういう話をしてはいけないんだ』と思っていたのです。それで今の病院の主治医に、『同時再建というのもできますし、胸はリカバーできるものなのですよ』と言ってもらい、ずいぶん楽になりました。手術から目が覚めたときに胸のふくらみがありましたので、あまり喪失感がなかったことが、その後の私の精神的な充実にものすごく役立ってくれたと思います。それは幸せでした。

早く元気になって痛みが取れるといいな、起きられるといいなと考えていて、起きられそうだと思ったら起きてみて、歩けそうだと思ったら歩いてみるというように、ステップを踏んでやってみましたので、そういう気持ちで乗り越えることはできました。痛いと言えば痛かったです。」