「私の中では意外とひとつひとつを処理していって、結果的に『あ・・・3つだったんだな』というのが現状で、本当の気持ちです。(乳房を)2つ失ったときは、やはり明るく見えても意外と動転があったのだと思いますが、子宮がんは超早期でみつけることができて、何てラッキーなのだろうと思いました。嬉しかったです。やはり自分に決定権があることで度胸が据わり、納得して自発的に治療に臨めたことは、ものすごくハッピーでした。」
「私はあまりクローズドにしない性格なので、どなたにも、それこそスーパーで会った近所の奥さんにも、『乳がんになっちゃって・・・』ということを言えたことは幸せでした。患者さんによってはいろいろな事情があり、お仕事の兼ね合いでそれを隠さざるをえない状況というのはもちろんあると思います。『えー、この人こんな病気だったの?』と言われるかもしれないけど、言うことによって、言わなくてもいい嘘をつかなくてもよくて、たとえば『調子が悪いから行けないのよ』ということでも普通に言える環境作りを自分でできたかなと思っています。自分なりに、わりと平気にがんをカミングアウトできた状況にも感謝しますし、そういう人間だったということがひとつ不幸中の幸いだったかなと思います。」
「学んだことは結局、がんであれ何であれ、人間にはピリオドがあるということです。ひとつは乳がんみたいな比較的経過の長い、自分と向き合える時間が多いがんというのは、自分のことを納得したり、これからちょっと先のことを楽しんだり、計画したりできて『ラッキーじゃん』と思いました。それはいろいろ痛みと向き合ったり、本当の意味でのがんの痛み、身体的な痛みを治療しつつあるというステージにはまだおりませんので、少し違うかもしれませんが、ある日突然、他人によって自分の命を絶たれたとか、そういうことではなく、自分で治療をする自由、治療を止める自由を選択できて、自分で選択できたのであれば、それを人のせいにはもうできませんので、そういう意味では気持ちがくくれます。あの時ああすればよかった、こうすればよかった人生というのはないですから。自分で決められたということに対して、気持ちがすごくクリアになれましたし、それを手助けしてくれた乳がんの主治医、子宮がんの主治医に感謝しています。」