5患者として学んだこと
「術後1年くらいは何か知ったふりをして、いろんなことをかじったり、シンポジウムや学会に行き、調べてみるようにしました。その結果、患者として知るべきことと知らなくてもいいこと、これはお医者さんに任せたほうがいいこと、患者としては何をやるべきかということを、その間に学んだような気がします。
やはり知ったかぶりをして、先生に『こういう治療とこういう治療が今最前線みたいですよ』と言うような、いちばん手に負えない患者の時期もあったと思うのです。やはり専門医であればもちろん共通のガイドラインをもっていらっしゃいますから、どういう気持ちで治療を勧めているかということを聞くことがいちばん大切かなと思います。数ある治療法の中で先生がどうしてこれを勧めているのか、共鳴ができるような態勢を自分の中でつくることが患者の第一でしょうか。知ったかぶりをしていろいろな治療法を先回りして、『先生こういうのもあるのですが、どうですか』というのは意外と簡単だと思いますが、医者が提示した治療法をどういうふうに納得するか、受け止めるかがひとつの患者学だと思います。」
●情報が整理できないとき
「乳がんが両方にあり、子宮がんへの心配もしなければいけないという3つのことに悩まされたときは、ちょっと待ってよ、と。私は3つの情報を受け取るお皿がない、引き出しがないと思ったので、子宮がんに関する勉強はほとんどしていないのです。あとは先生を信頼して、先生の診断が下ったときにひとこと、『これはどういうことで、先生はこれをお決めになったのですか?』と聞いて、その答えが納得できれば、そこで医師との信頼関係はもてると。信頼関係をもった医師がイニシアチブを取ってやることに関しては、一切文句は言わないというふうに自分で決めました。」