「気をつけていることは、私は片耳が聞こえないので、聞き取りにくいんですよね。だからいつも初めにみなさんに、『私は障害者です。耳が聞こえない私なので、私に優しく、聞き取れる声でお願いします』という感じで言うと、声の小さな人も大きな声でお話してくださったりするので助かるんです。それが聞き取れない時にどうやって聞き取ったらいいだろうというのが、すごいストレスなんですよ。だから、必ず当事者の発言している人のそばに行って、かがみ込んで聞きます。
それから、ネガティブな言葉はなるべく使わずに、同じ内容でもポジティブな言葉を使う。前向きにポジティブな考えに自分自身がなっていないと、否定的な言葉が出てしまいますよね。それは、やっぱり自分自身の生き方の問題でもあるので、それは心がけますね。だから私も寝る時は、『今日良かったことは何かな、えぇ』と数えます。『これができて良かった、これができて良かった、ああ、今日はいい日だったぁ』という感じで。」
「私も、“高森流”という感じの高森もどきなのでね、その方自身の個性というものがあるから、それを十分に生かしてほしい。というか、自分自身がやっぱり感動するということが大事ですよね。相手の良いところを見つける時にも、自分が緊張していたら見つからないので。だから型にはまったSSTよりも、自分流にアレンジできるというか、そういう中でリーダーがリラックスしてほしいなというのが1つありますね。
ご家族達が(SSTリーダーを)やる場合には、マニュアルだけでなく、その前にご家族達がどうしてもボタンの掛け違えということが起きたら、そのあとお願い上手になってもお断り上手になっても、掛け違えのまんまでは、どんどんギクシャクの度合いが高まりますよね。なので、当事者の“今”に合わせてほしい。ということは、“今できること、できないこと”をまず認識してほしい。もし相手が『できないよ』と言った時には、気さくに、『あ、できないんだね』と、嫌味でなくね。『せっかく言ってあげたのに』みたいな、こういうところを敏感に感じ取る方達ですよね。いつも “GO(ゴー)サイン・NO GO(ノーゴー)サイン”と言うんですが、リーダーになる方達は、自分がやらねばならぬということよりも、相手が拒否していたら、あんまりゴリ押ししないことが基本、大事かなと、私は思っています。」
「私は、まず家族が対象ということで呼ばれますよね。だからそういう場数から言うと、みなさんほんとに一生懸命やっているそのエネルギーを、もう少し楽に効率よく使えるのになあということを、みなさん知らないまま、ものすごくまじめに一生懸命やっていますよね。だからほんとにSSTというのが、もっと気楽に全国に広がってほしいなあということをすごく感じます。
家族会ができて30年ですとか40年ですとか言って、毎月とか隔月とか、それなりの活動をやっている方達が全国にいらっしゃるんですよね。そういう方達が『今日のようなお話、初めて聞きました。もっと初めに聞いていたら…』などと言うんですね。大局的なところで、この病気の勉強をやってくださると、ずいぶんご家族も楽になんじゃないかな。それに、家族が変わることで、再発率がガッと抑えられるんですよ。そういうところに、行政も医療関係も力を入れてくれたらいいなあ、まだまだ砂漠だなあと感じますね。
私がほんとにお願いしているのは、保健所でも病院でもいいんですが、ご家族達を絶えず継続して励ましながら、『大丈夫よ』という正しい情報を伝え続けるということ、それが必要かな。それが当事者にとって、一番この病気の回復につながるんじゃないかな、医療費を抑えることにもなんじゃないかなと思っています。」