「これはすごく大事ね。私、一人暮らしをしている当事者の方の主治医とばったり会ったんですよ。そしたらその主治医の先生が、『彼は今どうですか』と私に聞くの。どうして私に聞くんですか?と聞いたら、『彼は、外来に来た時に、しゃべらない、調子の良いことばっかり言う。本当はどうなのか知りたいんです』と言うの。それで私は、『評判ですけど、彼が作業所にくるとみんな帰ってしまうそうです』と言ったら、『あ、薬が少ないか』と、先生が言っていました。
お病気の方は、薬を変えてもらいたくないので、先生が『どう?』と聞くと、まあまあやっていますという感じで、さっき言った4つのことを言わない。先生に会いたいんだけど、先生の前に来ると早く帰りたいんだって、その緊張感で。多くしゃべりたくなくなっちゃうんだって。行く前はいっぱいしゃべりたい、今までのいろんな困ったことを訴えたい。だけど、先生の前に来ると、早く帰りたくなっちゃう。と言うので、あまりしゃべらないままでいる人がいるので、正確な情報が伝わってないというのを、感じているお医者さんはいます。
先生は一緒に暮らしていない方なので、どうしても家の中の訴え、ご家族からの話を聞きたい反面、聞き出すと家族は話が長い。延々と、カウンセリングをやっているんじゃないのに、次から次へと枝葉のことまでしゃべりたがる癖の家族の方もいらっしゃるのね。要領が得ないというか。これは先生にとってとても迷惑なことですね。」
「ご家族にとって、先生とのつき合いで大事なこと。ご家族は肝に銘じて、先生はカウンセラーではないので、時間制限の中で、なるべく筋道のとおった話を先生にお伝えする。だから先生にどのぐらい時間ありますかということを聞いて、お話を聞いていただくというのは必要かなと思いますね。
先生の方からご家族一緒でいいですよと言ってくれたり、ご家族だけが来てもいいですよと言ってくださるのは、救いね、すごく救い。とてもうれしいことだから、ぜひ先生に、『甘えて先生すいません、本当に時間を取ってくださって、ありがとうございます』と言ってください。それで話を聞いてもらってとっても助かりましたということを、終わりに言いましょう。言いにくいことも先生には言いましょう。その時にも『先生、ちょっと言いにくいことなんですが、いろんな情報を見ているうちに、今、単剤で少量が良いということなんですが、うちの子の場合にはとても多いんですけど、どうなんでしょうか。今、勇気を出して言っているんですけど、怒らないでね』と言いましょう。そうすると先生も本音のところで、『そう急には変えられないんですよ。徐々に減らす方向には行こうと思っています』という方向性を話してくださるかもしれない、ね。
で、まったく先生が拒絶的な場合、先生を変えるというのも1つの選択肢ですね。それからセカンドオピニオンを利用するというのも1つの手ですよね。」