「先生のほうから本当に平たくなってくださる先生もいます。私、(ある)偉い先生と歩いている時にね、患者さんが後ろから駆け寄ってきて先生の肩をぽーんとたたいて向こうに駆けていった姿を見たことがあるんです。あ、この先生は患者さんととてもそういう関係でいるんだなと…。でもそういう先生は珍しんですよね。だいたいが『私は医者です』というお医者さんが多いので、やっぱりそのプライドというか、それは頭にちゃんと入れておいたほうがいいんじゃないかな。
それから先生は、やっぱり自分の病気を一応管理して、その内容によって一番適切なお薬をくださる先生ですよね。なので、まずおつき合いに行っているのではないということよね。自分の今困っていることとか、自分の現在をきちんと先生にお伝えしなければ、これはお医者さんと患者という立場が成立しませんよね。だから病気で来たんだ自分は、困る症状があって来ている人。それを少しでも改善するというのが先生の役目ですよね。なので、『きちんと報告すること』ということを、(当事者に)言いますね。
もし先生が、パソコンをパチパチやっていて、それでも話しやすければオッケー。でもとても話しにくかったら、『先生すいません、言いにくいんですけど、先生がパソコンに向いていると、僕、話しにくいんです。すいません1分でもいいから僕のほうを見ていただけませんか』と、そのお願いをやってみましょう。『そうするとほっとするんです』なんて言いましょうと、当事者には一応お勧めしていますね。」
「先生に言う内容は、一応4つあると伝えています。
まず眠りについて、先生に言いましょう。何時に眠剤を飲むけれど、一向に眠くなりませんとか、追加眠剤飲んでもまだ眠くなりませんとか、夜中に何回も目が覚めますとか、朝が起きにくいんですとか、朝は早く目覚めて困りますとか、夢、悪夢ばっかり見ていて疲れますとか、眠りに関する情報をきちんと伝えましょう。」
「2番目が薬。先生の言うとおりにきちんと飲んでいます、と言う人はそれも伝えましょう。『友達の薬と比較して多いんじゃないか。心配なんです』と思っていたならば、それも言いましょう。それから、『これは副作用なんでしょうか』という感じで、自分がいつもの自分じゃないものを感じたならば、それも伝えましょう。これ(この薬)をどうしても飲みたくないんですけどというのがあったならば、やっぱり一応先生に言ってみましょう。先生が、それをなんて説明してくださるか、ね。分からない質問はすること。それから、薬を飛ばしがちというか忘れちゃうとか、実は先生からもらっている薬を半分しか僕飲んでいなくて今なんです、ということがあったら、それも正直に言いましょう。
『先生、その度に怒っていないから大丈夫』と言っています。薬を変えてもらいたくないという気持ちが、当事者達にあるんですね。変化に弱いので、薬を変えることにものすごく動揺するんですね。だからその気持ちも先生に言いましょう。」
「3番目が、気分。自分がどういう時に良い気分か、1週間のうち何曜日が気分が落ちるとか、毎日の中でも朝とお昼と午後が違うとか…。
一人の方は、先生の提案なんだけど、『君は音楽が好きだから、五線譜、知ってるよね、ト音記号があって5本線がある。それに自分が気分の良い時に上の方の音符、気分が落ちてる時には下の方という感じで、これが何時、何時、何時とところところに音符のようにしてグラフを作ってみるのどうかな』と。そういう記録もすごくいいんじゃないかな。そういうお勧めがありますね。」
「最後が生活の広がり、行動の広がり。作業所に2日行っていますが、とても気が重いですとか、この頃楽しくなりましたとか、この頃はスーパーに行って野菜が買えるようになりましたとか。お医者さんには、それが一番回復が分かる。社会にどのぐらいなじんでいるかということですよね。それを先生達は本当は知りたいんですよ。」
・眠りについて |