「病気のために、いわゆる興奮して暴れるような危険な状態ならば、自分の力ではどうしようもないから、取りあえず逃げましょう。家族が大勢いるならば、みんなで今、暴れそうな危険な人を押さえましょう。私は右手係、あなたは左手係、あなたは右足、あなたは左足という感じで、みんなで体重をかけて押さえ込みましょう。つねったり噛みついたりしないこと。
取りあえず押さえ込んで、耳元で静かな声で、大きな声を出すと余計にドーパミンが出てしまうんですって、興奮すんですって。だから声のトーンを落として、『落ち着いて、落ち着いてちょうだい、暴力はだめ、暴力は絶対だめ』と、小声でささやきましょうということを、ある精神科の先生が言っていましたね。
ここで必要なこと、調子の良い時に言ってほしいこと。『暴力は犯罪、やってはいけないこと。だからパトカーを呼ぶよ』ということを言っておきましょう。『あんたのセリフが悪いから私は怒っているんだよ』と、向こうは当然のようにあなたが悪いんだよと言うでしょう。でも暴力は犯罪。それを平和に、今あなたのセリフのこういうところで傷ついているんだよと言えるほうが大事なんですよね。
でも調子の悪い時はそれができないので逃げてあげる、事件を起こさないために。で、離れたところから電話で、『とても怖いので逃げてきたんだよ。暴力している最中は家へ帰らないから』ということを、『あなたは大事な人だけど』という言葉を言ってから言ってください。暴力が怖いから離れたんだよということを、繰り返し繰り返し本人の中にインプットしてほしいなと思いますね。
だから、調子が良い時に、『調子の悪い時にどうしたらいいの?』と、一応聞いてみましょう。本人がどうしてほしいか、ね。」