「名前が古いままなんですけどそこは、地域生活支援センターというところにほぼ毎日通っています。電話もほぼ毎日のようにしています。
私の場合、すごく人に頼るのが好きで、いろんな人にきつくなっては『助けて助けて』というふうに電話をするんですけど、そのことで他の人よりもたくさん支援をしてもらって、それで今、一般就労している自分がいると思うんですけど。いっぱい手を差し伸べてもらった分、これからは少しずつ自分の足で歩いていこうというふうには思っています。
今、両親と一緒に実家に暮らしているんですけども、私はやっぱり生活する能力がどうしても低くて、掃除、洗濯そういうのが苦手なんですね。今は、親がいるからしてもらっているけれども、実際に親がいなくなったときにどうするの?て思ったときに、それを悲観するんじゃなくて、親がいるうちにできることを探そうというふうに人から言われて、『ああ、そうだなあ』って思って、今のうちに自分の力をつけておかなきゃというふうに思うのと、やっぱりあとは自由気ままに暮らしたいと思って、他の同じ年の女性と同じように、一人暮らししたり、そういう夢があります。両親には内緒なんですけど、今、お給料から一生懸命お金を貯めていて、それが貯まったらぽんと一人暮らしをしたいと思います。」
「私は具合が悪くなるといつでもどこでも何時でも人に話して自分の考えを整理したいと思うタイプなんですけども、そのときにはいつも頼りにしている支援センターがお休みだったりとか、友人に(電話を)かけるような時間帯ではなかったりとかするとすごく不安が大きくなっていって、ものすごくつらい思いを家でしてしまいます。そんなときに、もしACT(包括的地域生活支援プログラム)があったならば、自分の知っている人に自分の話を聞いてもらったり、自分が危機的状況に陥ったときに連絡できる人や病院があったりするとすごく安心して地域で暮らせるのかなって思うんです。
私、病院にずっと入院していましたけど、なぜ退院したくなかったかっていうと、守られている感じがしたんですね。夜中につらくなってもナースステーションには電気がついているんです。そこには看護師さん達がいて、厳しく言ってもらったり話を聞いてもらったりしていたんですけど。でもずっと入院しているのが良いとは、私は個人的には思わないんですね。で地域で暮らすときになったら、やっぱりいつ何かが、自分の危機が起こったときも支えてくれる人はいるって思っただけで、たぶん安心して地域で暮らせるんじゃないかなって思います。」
ACT(Assertive Community Treatment;包括的地域生活支援プログラム):生活の場での支援を目標に医師や看護師、ソーシャルワーカーなど他職種が包括的に支援に携わるプログラムである。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどで普及したあと、2003年から日本でもいくつかの地域で試行的に行われている。
「私は、家のことがどうしても苦手で、今までも、例えば、一般的な家の掃除の仕方だったり、そういうことをほぼまったく知らないんですね。で、家の中とか結構めちゃくちゃなんですけど、それを自力でできるようにするために、まずはヘルパーさんを呼んで一緒に生活の仕方を覚えて、料理も覚えたりして、そこから少しずつそういう支援の形を減らしていって、自力で何かできるようにすることができたらなって思って、できればヘルパーさんを利用したいなと思うときがあります。」
「やっと自分も一般就労というものにチャレンジをして、これからいろんな良い思いやつらい思いをすると思うんですけど、それって今まで他の人が、健常者と言われる人たちが通ってきた道と同じなのかなって思うんですね。今は、私、たまに、やっぱり健常者と言われる人たちが怖いんですけども、でもこれからは同じような生活ができたらなって思います。精神的な困難なものを抱えていても、やっぱり他の人とへんに区別もなく、お給料も同じぐらいもらえたりとか…。それなりの責任は伴ってきますけど、他の、同年代の人たちと同じような生活をしていけたらなって思います。」