統合失調症と向き合う

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近島勇さん
近島 勇さん
(ちかしま いさむ)
1945年生まれ、67歳(収録時)。会社員として働いていた35歳頃に発症。家族の希望で入院治療の体験はない。症状がうまくコントロールできないことから仕事を辞め、主夫として家族を支えてきた。作業所と出会うことで同病を有する他者と交流し、病識を得たという。現在は、ヘルパーや電話相談など様々なピア活動を行っている。妻、娘との3人暮らし(息子は結婚し独立)。
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9いちばん辛かった時
Q.今まででいちばん辛かったのはいつ頃ですか

「辛かったのは…、でも、あれ辛いとは言えないんですよね。ほんと考える力もなくて。要するに校正記号で上と下を入れ替えなさいという、大変と言えば大変なんだけどね。辛いというよりも必死で戦っていたからね。だから、辛いという感じではなくて…。むしろ逆に辛かったのは、病識をもてた直後でしたね。自分は病気だったんだと思った時に、『16年間の自分の戦いは何だったんだろう』なんて思ったり…。

それで、当初、私、精神病に対する偏見自身が自分の中にまだあったみたいでね。自分は、精神病でしかなかったのかなと。で病気だと認めて薬を飲んでいったりしている時になると、『できない自分』というか。例えば疲れやすいとか、注意力がないとか、持続力がないとか。それでできない自分を認められないというかね。そういう時は、本当に辛かったですね。

でも、私は本当に、仲間によって病識をもてたのと同じように、仲間によってやっぱり救われましたね、その時も。要するに、『こんな自分でも生きていていいんだなぁ』というようなことが、仲間との触れあいというか…。『生きていていいんだよ』なんて言葉に出しては言いませんけどね、いわゆる、触れあいの中で伝わってくるというのか。そういう仲間の中にいることで、安心とか憩いとか、そういうものが(あり)、だんだん解きほぐされていくというか、病気の部分もね。そういう形になりましたね。」

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