9いちばん辛かった時
Q.今まででいちばん辛かったのはいつ頃ですか
「辛かったのは…、でも、あれ辛いとは言えないんですよね。ほんと考える力もなくて。要するに校正記号で上と下を入れ替えなさいという、大変と言えば大変なんだけどね。辛いというよりも必死で戦っていたからね。だから、辛いという感じではなくて…。むしろ逆に辛かったのは、病識をもてた直後でしたね。自分は病気だったんだと思った時に、『16年間の自分の戦いは何だったんだろう』なんて思ったり…。
それで、当初、私、精神病に対する偏見自身が自分の中にまだあったみたいでね。自分は、精神病でしかなかったのかなと。で病気だと認めて薬を飲んでいったりしている時になると、『できない自分』というか。例えば疲れやすいとか、注意力がないとか、持続力がないとか。それでできない自分を認められないというかね。そういう時は、本当に辛かったですね。
でも、私は本当に、仲間によって病識をもてたのと同じように、仲間によってやっぱり救われましたね、その時も。要するに、『こんな自分でも生きていていいんだなぁ』というようなことが、仲間との触れあいというか…。『生きていていいんだよ』なんて言葉に出しては言いませんけどね、いわゆる、触れあいの中で伝わってくるというのか。そういう仲間の中にいることで、安心とか憩いとか、そういうものが(あり)、だんだん解きほぐされていくというか、病気の部分もね。そういう形になりましたね。」