統合失調症と向き合う

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近島勇さん
近島 勇さん
(ちかしま いさむ)
1945年生まれ、67歳(収録時)。会社員として働いていた35歳頃に発症。家族の希望で入院治療の体験はない。症状がうまくコントロールできないことから仕事を辞め、主夫として家族を支えてきた。作業所と出会うことで同病を有する他者と交流し、病識を得たという。現在は、ヘルパーや電話相談など様々なピア活動を行っている。妻、娘との3人暮らし(息子は結婚し独立)。
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14医療者とのコミュニケーション
Q.医療者とのコミュニケーションで印象に残っていることは?

「今の先生、どっちかというと先生自身がちょっと吃音(きつおん)的なところがあって、初めは頼りないかなぁなんて思っていたけれど、結構勉強していらっしゃる先生でね。

それと、統合失調症で(病院に)行っているのですけれども、私、糖尿病もあるんです。それで、糖尿病のことも言ってくれて、『ちょっと1回、専門の病院で診てもらったほうがいいよ』と言ってくれたので行って、1か月ほど入院もしたのですけれど。今は、インシュリンを1日4回、打っています。そんなふうに、今も(病院に)行った時、血液検査まではしないけれど、尿検査をしてくれていますね。」

Q.インシュリン自己注射と抗精神病薬の服薬、どちらがたいへんですか

「インシュリンは副作用がないですから、ほとんどね。低血糖という副作用はありますね。測ってみて、低血糖になっていると思ったらブドウ糖を飲めばいいので。やっぱりしんどいと言えば、統合失調症のほうがしんどいのと違います?

ただ薬は、昔飲んでいたセレネースとドグマチールを2錠2錠。あれに比べたら、今はもぅ本当にはるかにマシですね。」

Q.退院促進事業に関わったそうですが、何か思うことはありますか

「そうですね。極論になるかもしれないですけれど、病院というのは、長期に入院すればするほど、できていたこともできなくなっていくという形になると思いますね。特に地域で暮らしている当事者から見て感じるのは。病院というのは、ある意味で完璧に近いように、完全に治してからでないと退院させないというような風潮が、まだ根強くあるように思うんですね。

で、私自身の体験から言っても、そうそう幻聴が聞こえていても、妄想があっても、やっぱり地域で暮らすというか。もちろん、地域のサポートを受けながら暮らすほうが、より地域の中で生きていくスキルが身につくのではないかなぁと思いますね。そういう意味では、福祉制度として、さっき言ったグループホームも出ましたけれども、援護寮とか、作業所とか、そういういろんなものが地域でもっと充実して、揃っていれば安心して地域にも(帰って)来れるというか…。

聞き取り調査などをすると、逆に、退院したくないと言う本人もいるんですよ。なぜかというと、地域に出ても、どんなふうにして生きていけば、生活していけばいいか分からないという。地域で生きると、自分のしたい事とか楽しい事をもっともっとできるんじゃないかな。そうなると、逆に病気にもいい影響を及ぼしていって、良くなるのではないかなと思いますね。」

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