統合失調症と向き合う

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ペトロさん
ペトロさん
1967年生まれ、46歳(収録時)。29歳の頃に幻聴と妄想が始まったが、自分では現実のものと信じ、さまざまな機関にその内容を訴えたが解決せず、自分の聞いているものが現実であることを証明しようと精神科を受診し、統合失調症と診断される。営業マンとして働いていたが、会社を辞め、ボランティアをはじめさまざまなことを行った。2年前に住まい近くの障害者就労支援センターの存在を知り、支援を受けながら就職活動を行い、現在は老人ホームの調理場で調理師として週5日働いている。
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4入院・治療
Q.受診した時とその後の治療について教えてください

「カトリックの病院なのですけど、古い総合病院です。最近、建物が全部新しくなりましたけど。女医の先生だったのです、その時、精神科が。

で、(先生が)『あなたはとても疲れている。休む必要があるから入院しましょう』と。で、『先生、僕は病気じゃないんだ。そんな入院なんて考えられない、バカバカしいからやめてください』と、とにかく僕は病気じゃないということをなんとか証明してくださいと、正直に全部言ったんですよ。そしたら、『いや、あなた(は)疲れている、とにかく休みなさい』(と)。

でもそこまで言われると、まあ、フランス人の神父さんに言われていたこともあったので、とにかく従ってみるかと。これで休めば治るのだったら俺は病気だなというふうに、考えられる余裕はあったんですね、ある程度。

病院に行くところまでが大変でしたから、行ったらもう、あとは医者との話し合いで、医者の言うことにあんまり反発してもしょうがないから、とりあえず言うことを聞いてどうなるか見てみよう、とにかく結果を見ようと…。

(先生は)『休む必要があるので、入院しましょう』と言って、僕を2週間ほど入院させました。で、点滴を打ちました。その後、リスパダールという抗精神(病)薬を処方してくれました。数量は忘れてしまったのですけど。この薬は、現在も飲み続けています。副作用もあんまりなくて…。

僕はこの薬を飲んだら、すぐに効果が出たんですね。いわゆる妄想とか幻聴と言われる、僕が体験していたことが薄れて、気が楽になったのです。結局それによって、結果が出たというか…。『ああ、僕は治ったんだ、僕は病気であった』と、その時初めて、(病気を)受け入れはじめたわけです。

それで、結局僕はしばらくしてから、あまり熱心に薬を飲まなくなってしまったんですね。『薬を飲み続けてください』と先生は言われたのですけれども、なんだかとてもバカバカしい感じがして…。『そんな、もう治っているのに』みたいな、症状はもう消えているのにと思って、飲まなかったのです。

でも結局、熱心に薬を飲まなくなってから、また症状が出て、もう1回入院することになりました。それによって、結局その病院の先生との信頼関係がちょっとなくなってしまって、やりづらくなってしまったのです。

しかもカトリックの病院じゃないですか。結構シスターとかがいるんですよ。そうすると、僕としては、シスターのいる病院でこんなことになってなんか嫌だなあというか、むしろやりづらいというか…。じゃ、いいや、どこか大きい病院に紹介してもらおうと思いまして、それで、(別の)病院を紹介してもらったのです。」

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