「まず、知人、友人とのつき合いの中では、自分が楽天的であるということを理解してもらうことが大事じゃないかなと、今、思っています。精神的な病気を持っていると、やっぱりみんな“うつ”というイメージがあるんですよね。だから、落ち込んで悩んで自殺するのではないかとか、そういうイメージがあるわけですよ。それを払拭するためにも、まず、僕が深刻に苦悩している状態ではないということを知らせることを大事にしています。それは、自分が今置かれている状況を受け入れているということを見せるというか…。
それから、これはとても現実的なことですけれども、あまり金銭のかかるつき合いはしないということは、第一に心がけています。友人とのやり取りはメールを中心にして、友人達と会って会食するようなことは、時折にしています。
冠婚葬祭も、重要なこと以外は、あまり積極的には出ないようにしています。これはやっぱり経費がとってもかかることですので。つき合いをあんまり広げてしまうと、お金がかかってしまうので、それは気をつけています。
それから、夜、お酒を飲むことは極端に避けています。そういうふうにすることのほうが、疲れも少なくて、ストレスもかからないのではないかと思います。ですから、貧しい生き方の中で、まあ、ささやかな幸せを探していると、そんな感じです。」
「地域に、僕の通っている教会の信者さんで地域の精神障害者のための作業所を運営している理事長さんがいるのです。その理事長さんもとっても心配してくださって、いろいろと情報をくれている中で、母がそういう話を聞いてきて…。
結構、母が、タイミング、タイミングで、ちょっと投げやりになっている僕にいろいろ言ってくれたので、それは結構助かりました。」
「就職して、現在の職場は老人ホームですから行事がいろいろあるわけです。それに合わせていろんな行事食、てんぷらを揚げてみたり、クリスマスだったらチキンを焼いてみたり、ひな祭りにはちらし寿司を作ってみたり、いろいろあるわけです。そういう行事が多いので、家庭でも話題が事欠かないですね。
ですから、家族にも、(僕が)仕事を楽しんでいるのではないかなと思ってもらえるのは良かったと思います。で、僕が就職して、家族がとっても安心してくれました。そして、就職してから1年ほどで父ががんで亡くなったのです。ですから、父が安心して亡くなったことは本当に良かったと思っています。」
「福祉サービスと言えるかどうか分からないですけれど、いわゆる自立支援医療の支援は受けていて、医療費の一部負担を受けています。ですから、医療費は、今、1割負担で済んでいますね。
それから、精神障害者として3級の認定は受けています。もう助けてくれるのだったらなんでも利用しようと思って、探しましたよ、いろいろ。何が使えるかと思って…。」
精神障害者保健福祉手帳:2年ごとの更新が必要。更新時期の患者さんの状態に合わせて手帳の等級(1級、2級、3級)が決まる。生活保護の障害者加算や税金の優遇措置など、経済的な支援を受けられるようになるほか、自治体によって異なることがあるが、交通費、通信費などの負担を軽減できる。
「最近の医学のいろんな薬の進歩もあって、統合失調症も完治する人というのがどんどん出ていると思うのですけれども、そうなった(完治した)方々が、どういうふうに社会復帰のプロセスを経て、どういう姿勢で、今、バリバリやっているのか、体験談をお聞きしたいですね。
もう薬も(飲まなくて)いいと言われる人もいるらしいんですよね、中にはね。完治の宣言みたいな…。だけど、僕の場合は、それはとっても怖いんですけど。今でも薬はどんどんどんどん減らしてくれているのですけどね、先生は。そうなったら(完治したら)もう職場でも、もっと積極的に残業できますよね。」
「まず、正直に言って、このままで生活を続けていけるのかなあ、あるいは年老いた親を支えていけるのかなあということについては、いつも考えています。
仕事は、就職できたとはいえ有期雇用ですし、給与水準は低いですから。でも、今、健康的に仕事ができているということに、とっても感謝しています。そして、行き詰った時には、行政とか身内の周囲の人々に素直に助けを求めて、協力してもらおうかなあというふうに考えています。
『1人で生きていかなければならないんだ』と力んでみせても疲れるだけだと思いますし、人は結局のところは、1人では生きていけないと思いますので。それで、また、自分も可能なことで、周囲にお返ししていければいいかなあと、力まないで考えようとは思っています。」
「これはまったく僕独自の見解なので、人によってそんなことはないと言うと思うのですけれども。僕としては正直なところ、精神(科)病院に通っているとは分からないような総合病院に通いたいのです。精神(科)病院として建っている病院に通っているというふうに思われるだけで、僕としてはとっても嫌な気分なのです。自分の中で、自分の病気を差別してしまっているとは思うのですけれども。病気を周囲に意識されないで、ある意味では、気楽に通える大きな病院がいいですね。
現在は、大きな病院の連携しているクリニックに通っているのですけれども、ビルのテナントで、さりげなく通えるので、その点でとっても気に入っています。」