7地域で緩和ケアを実践するには
「いちばん有効なのは、実践例を一緒にみていきながら、そのチームとしてやってみる。これが皆いいようですね。オキシコンチン(医療用麻薬)は全部で300mg以上使ったことがない人、160mgぐらいしか使ったことがない人、その上にいった場合どうやってくすりを展開していくのか、全身倦怠が強くなったときはどうするか、食べられないときは、尿が止まった場合はどうするのかとか。そういうのは、うちはほとんどチームで最初から対応していきます。今は泌尿器のトラブルが出ていなくても、脊椎転移があり骨盤腔内転移があれば、将来的に泌尿器のトラブルが出るのは必須ですから、そういうときのために(泌尿科医には)最初からカンファレンス(会議)に参加して状況を把握してもらいます。カンファレンスに出てその泌尿科医の仕事が発生するのはカンファレンスの4ヵ月後かもしれない。でもそうしてプログラム化しておけば、必要な医師が必要なときにサッとそこに来るわけです。
●緩和ケアはチーム医療
「緩和ケアというのは原則、チーム医療だという認識を必ずもてば、自分で取り付くことができないような領域ではないと思います。他の専門性をもつ医師と相談して、チームで動くことで開業医というのはいろんな現場から学んで知識を貯えつつ伸びていく職種ですから。自分のもっている知識の限界が、患者さんに提供できる医療の限界ではいけないわけです。まさにそういう領域と捉えて、自己研修もあればチームで現場を見ることと聞くことだけで多くの情報が取れますから、それを早く使いこなせるのがベテランの開業医の技なのです。だからそういうことを組み合わせて重ねてしていけば、それほど緩和ケアの標準化は難しいことではないと思います。」