がんと向き合う

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片山 壽さん
片山 壽さん
(かたやま・ひさし)
広島県尾道市・片山医院院長
内科医。尾道医師会会長。地域の高齢者医療、介護、緩和ケア、病診連携を積極的に研究、推進。著書に『地域で支える患者本位の在宅緩和ケア』。
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10主治医に痛みを伝えることの大切さ

「痛みを伝える、というよりは伝える相手が主治医であるかどうかというのはたいへん大事だと思いますね。病院に入院していても在宅の主治医の方へ、僕が在宅の主治医であれば、僕のほうにすごく痛いと言ってくる人もなかにはいますね。だから病院の主治医を自分の主治医として信頼をする。主治医として信頼をされれば、がん患者さんに『痛みはありませんか?』ということを聞かない主治医はいないはずですから。そこが医師と患者さんの関係ということにはなるかと思いますが、まずは心の通った医師に、病院の受け持ちの医師でも主治医と認めて『痛いんです』と言えばですね、その痛みの訴えを無視することはないはずです。痛みの訴えを促さなきゃいけないというのが、ひとつの病院のあるべき姿なんですね。だからそこで『痛みはどうですか』と言えない医師、看護師というのは問題があろうかと思います。」

Q. とにかく痛みを伝えるということですね?

「がんの患者さんで痛みが出ていればですね、痛みは我慢しないで『痛い』ということをそばにいるスタッフ誰にでも伝える。一瞬たりとも躊躇することなく『痛い』と言えばいいと思います。そこからずいぶんと今後の日本の政策も変わっていくんではないかと。とにかく患者さんが痛みを我慢するということがない、患者さんも痛みを隠さない、我慢しない、すぐに訴える、もうこれはいちばん必要なことだと思います。」

Q. 患者本人が痛みを伝えられない場合は?

「患者さんがはっきり意思表示できない場合もあるでしょうから、その痛みの様子はやはり、病院に入院していれば看護師が『痛みはないでしょうか?どうでしょうか?』ということをはっきりと聞き取らなければいけないし、ご本人が少し認知機能が落ちているようなことがあれば、それは家族の方が『どうも痛いようだ、何とかしてください』ということを言うべきでしょう。」