統合失調症と向き合う

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五十嵐 徹さん
五十嵐 徹さん
(いがらし とおる)
31歳、男性。23歳のときに症状が出現し、発症から3か月後に精神科を受診。2回の入院を体験し、現在は、症状も安定し、週5日、フルタイムに近い形で倉庫内商品管理の仕事に就いている。通信教育で「社会保険労務士」の資格を取っており、いつの日か精神障害者のさまざまな手続きをサポートしたいと思っている。
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7就労について
●意識の変化

「3年前から働いているのですけれども…。

ちょっと時間的なズレというものがあるかもしれないんですけど、意識的な変化は、1回目の入院の後ですかね。2002年の1月に、父親が他界しまして…、それで、一生懸命働いている母親の姿を見て、『これじゃいけない』という意識がすごく強かったので、再就職したいという思いはやっぱり人一倍強かったと思いますね。で、社労士(社会保険労務士)の試験(を)目指したぐらいから(就職)活動しようかなと思いはじめたんですね。けど、まだ陰性というか抑うつみたいものが強かったですね。全然、暗い感じでした。」

●処方薬の変化

「3年前から、新しく出た新薬なんですけど、2006年に出たエビリファイというのに、徐々にシフトしてもらうということを主治医と話し合って決めたんですけども。そしたら結構抑うつ症状が出なくなりました。エビリファイ単剤ですね。

ほかに飲んだことがあるのは、引きこもりだったり就職するまでの5年間には、抑うつに対してパキシルですね、抗うつ薬の。パキシルはですね、自分の場合は吐き気が強くて、1週間も飲まないで『もういりません』と言って飲まなかったんですけど。あとですね、抗不安薬の、それは緊張とかがすごく強いので、試験とかを受けるときも使っていたんですけども、ワイパックスという薬。これは、特に副作用がなくて、すごく合っていたので頓服として使っていましたよ。お守り代わりとして、一応、旅行とかいろんなところに持っていっていました。眠剤は、必要ないですね。

就職(仕事)、3時間からはじめたんですけど…。3年前です。就職して最初の頃は、リスパダールを飲んでいました、そう言えば。で、エビリファイになってすごく元気になってきたというのはありますね。エビリファイは、最初、アカシジアという副作用が出たんですけど、それ以外はまったくないので、自分としてはすごく合っていていい薬だなと思います。リスパダールで言い忘れたことなんですけども、リスパダールを飲みはじめて、食欲増進がひどくて、2か月で25キロ(体重が)増量しましたね。あとは、すごく日中の眠気がひどくて、だるいというか体が重たい感じがありました。

(薬の変更で)変わりましたね。車とかなんですけども、なんて言ったらいいんですかね、リスパダールを飲んでいるときは意識がはっきりしなくてちょっとボーっとしているような感じだったんですけども、今のエビリファイになってからは、運転とかも全然支障なく行えるかなという感じはしますね。緊張とかも少なくなりましたし。運転はですね、仕事で忙しくてしていなくて、ちょっとペーパードライバーなので、ペーパードライバー講習的なものに通って、春ぐらいから、自分の車を買って運転したいなと思っています。」

エビリファイ(アリピプラゾール):非定型抗精神病薬
パキシル(パロキセチン塩酸塩):抗うつ薬
ワイパックス(ロラゼパム):抗不安薬

●就職活動〜勤続3年

「(就職)は、普通にハローワークというか職安ですね、職安に自分で行って、ですね。 (職場は)今と同じところですね。今、勤続3年超えました。

今は、繁忙期とかになると、もうめちゃくちゃ残業とか、1日10時間(勤務)とかもあるので、フルタイムに近いというか、フルタイムを超えている週とか月もありますね。体調は、全然…いけますね。」

●仕事をする意味

「仕事をしていないときは、やっぱり引きこもりとか、日々悶々(もんもん)とした生活をしていたので、自分はだめな人間だと、よく自分を責めてばっかりいたんですよね。だけど、やっぱり仕事したというか、仕事が見つかって就職したということが、あのう少しでも世の中の役に立つ、自分の役割が社会、世の中にできたみたいな、1つ役割を得たみたいな感じで、すごく仕事は自分にプラスになっていますね。

(病気のことは)一応、面接のときも(会社に)言ったんですけども、まあ、もう治ったんだろう的な…。そのう統合失調症というのがどういう病気なのかというのが、まったく理解はしていないですよね。精神障害者としても扱われていないですね、時給とかそういう面でも。(健常者と)同じですね。自分としては、やっぱり『障害者だから』みたいな目で見られるよりは、すごく自信につながります。」

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