統合失調症と向き合う

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五十嵐 徹さん
五十嵐 徹さん
(いがらし とおる)
31歳、男性。23歳のときに症状が出現し、発症から3か月後に精神科を受診。2回の入院を体験し、現在は、症状も安定し、週5日、フルタイムに近い形で倉庫内商品管理の仕事に就いている。通信教育で「社会保険労務士」の資格を取っており、いつの日か精神障害者のさまざまな手続きをサポートしたいと思っている。
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12統合失調症の方へのメッセージ

「自分も、当初、病気になったときには、すごく絶望感が強くて、自分の人生は終わりだみたいに考えていたんですけども、統合失調症になって8年経って、今、思うことは、今は社会復帰を果たして、少しずつ自分のやりたいことに近づいている、自分自身があるのは、統合失調症という有用な体験をしたことがすごい礎(いしずえ)になっているというか、ベースになっているというか、統合失調症にならなかったら、今の自分がなかったなと、すごく思うんです。

病気というか統合失調症と闘うというのは、お勧めしないというか、ま、闘っても勝てないですからね、所詮(しょせん)。なので、うまく付き合うという感じですよね。そうしていけたら、まだまだ偏見とかも色濃く残っていて、結構、大変な病気と見られがちですけども、きちんと周りの温かい目があったり、サポートがあれば、地域で普通に暮らせますし、就労も含めて社会復帰なども、全然可能な病気なので、あきらめないというか、どんな小さな目標でもいいので、ちょっと持ってもらいたいですね。マイナスなことじゃなくて、プラスに何かをはじめてほしいですね。一歩踏み出せ、じゃないんですけど。そういうことができない状態、まあ精神障害というか、いくら症状は重くても、たぶん地域では暮らしていったり、就労に限らず、作業所とかそういうところで作業したりというのはできると思いますね。だから絶対、統合失調症になったから人生終わりということは考えないというか、あり得ないと思いますね。」

●同じ体験者だからこそ

「患者同士は、同年代だと、趣味だったり馬鹿話みたいなものもするんですけど、統合失調症になってからできた友達がすごくいいなと思う点は、健常者の友達の部分も持っていて、いざというときは病気の相談もできるというか、相談しあえる。一人二役みたいな感じなので、同じ病気の友達は、結構いいなって思いますね。

あとですね、自分は相談に乗るときに、うまいアドバイスをしたいと考えるほうで、結局、ろくなアドバイスができなかったと、自分を責めて落ち込む癖があったんですけども、それを、『いや、違うな』と思いだして、やっぱりただ聴いてあげたりとか、傾聴が大事だなとすごく思うようになって。傾聴して、もし自分も同じような体験をしていれば、自分の場合はこうこうこうだったよというのをプラスするぐらいで、相談に乗れるんだなというのは思いますね。変わらずに耳を傾けてあげたら、不安の中のほんの小さな安心感にはなれると思いますね。」

●家族の方へのメッセージ

「調子悪いときも、別に普通に接してほしいなと思いますね。病院に通っているので、やっぱり隣近所とかも、偏見みたいなものがあるかも知れないですけど、なるべく家族は、腫れ物に触るみたいな感じじゃなくて、普通に一人の人として、一緒の家族として接してくれたら嬉しいかなと思いますね。普通の家族の一員みたいな感じで…。」

●家族との関係で気をつけていること

「やっぱりストレスとかでイライラって来るときがあるんですけども、最近できるようになったんですけども、音楽を大きくしてヘッドホンで聴く。ま、迷惑をかけないみたいな感じで。あとは、暴れたりあんまりしないですけど、ものにあたったりするときも、自分のテリトリー、部屋だったら部屋、そこ以外のものには手を付けないということは決めていますね。最近はあたることもなくなりましたけども。家族関係を壊さないためにも、大事だとは思います。」

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