統合失調症と向き合う

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薄羽正明さん
薄羽正明さん
(うすば まさあき)
1967年(昭和42年)の43歳(収録時)。両親と同居。大学卒業後、就職したが、23歳の時に発病。症状により退職、再就職を繰り返す。現在は、就労支援サービスを受けながら、就職活動を続けている。
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1現在の生活
Q.現在、どのような生活を送っていらっしゃいますか

「現在仕事はしていませんが、“厚生労働省の基金訓練”に通っています。基金訓練がない時には、体力作りをしたり、インターネットでブログやサイトを楽しんでおります。

基金訓練と申しますのは、厚生労働省が緊急人材育成訓練の一環として行っているもので、さまざまな研修なのですが、家庭の一定の収入状況や資産状況によりまして、月10万円から12万円の生活費が出ます。ただし僕の場合は、それにひっかかってしまって出ないのですけれども、授業はただで受けられます。ハローワークに尋ねるのが一番良いかと思います。

基金訓練ですけれども、障害者でも受け入れてくれるところはありまして、窓口では開示しますけれども、学校側には開示しなくてもいいということになっております。(私が通うのは)今年の4月の終わり頃から10月の中旬頃までです。」

基金訓練:国の平成21年度補正予算により、雇用保険を受給できない方を対象に創設された職業訓練(緊急人材育成支援事業)で、平成23年9月で終了となった。10月1日からは「求職者支援制度」として新たにスタート。「求職者支援訓練」または「公共職業訓練」を受講でき、訓練期間中および訓練終了後もハローワークが積極的に就職支援を行う。また一定の要件を満たす人には「職業訓練受講給付金」が支給される。相談は、居住地のハローワークへ。

Q.インタビュー協力の動機を教えてください

「正直に申しますと、非開示での就職活動とか、あるいはいろんな求職活動に限界を感じたんですね。それが、1つの大きな転機だったと思います。やはり、履歴書を見ただけで一目瞭然に、『この人おかしいな』というのは、ちょっと分かってしまいますし、やっぱりウソを書くわけにはいきませんし、それよりも求人情報で、開示して正々堂々とやった(活動した)ほうが、自分はいいのではないかというふうに考え始めたのです。

まだ、この病気は偏見が強いですけども、精神病というのは、(薬を)変えただけで、発想がプラス思考になったり、ポジティブになったりということがありますから、やっぱり適切な治療を行えば、自分のように良くなるし、そういう自分がいるということが、精神障害者や、特に統合失調症の人達には希望につながると思いましたので、あえてカミング・アウトすることにしました。

なんて言うか、ここでカミング・アウトすることに対して、以前はすごく、天と地がひっくり返るような、衝撃的な事実のように自分は思えたのですけども、母親から、『お前がカミング・アウトしても、悪い意味じゃないですけど、世の中は変わらないから、安心しなさいよ』と言われたので、それで自分は、ここに勇気を持って来ました。だから自分がカミング・アウトしても、自分が自分であることには変わりはないと思います。」

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