統合失調症と向き合う

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薄羽正明さん
薄羽正明さん
(うすば まさあき)
1967年(昭和42年)の43歳(収録時)。両親と同居。大学卒業後、就職したが、23歳の時に発病。症状により退職、再就職を繰り返す。現在は、就労支援サービスを受けながら、就職活動を続けている。
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6再発、3度目の入院
Q.3度目はどこに入院したのですか

「その時ですね、統合失調症が再発したのは不幸なことだったのですけども、その病院のコネでM病院に入院することができたんです。その病院の先生の紹介で。それは自分でも宝くじに当たるよりラッキーだったと思っています。日本でも指折りの、なんと言うか伝統があり良心的な治療をする病院だと評判だったからです。

いろんな方(患者さん)がいまして、中には、アーチストっぽい方もいましたし、かたぎではない(ような)人もいたのですけども、今となってみれば、個性的なメンバーが揃っていたと思います。

(治療は)良好でした。ただし、初期の頃はですね、幻覚、妄想が強かったんです、病院で叫んだ時は。その時に、あまりにも状態がひどかったものですから、主治医が、『これはもう電気ショック療法(電気けいれん療法)を試してみるしかない』と、両親を説得しまして、それで良くなるのだったらということで、両親は藁(わら)をもすがる思いで同意書にサインしたそうです。」

電気けいれん療法:かつて電気ショック療法と呼ばれたこともある。薬の無い時代の暗いイメージがあるが、現在は、厳格な監視下で安全な方法で行われており、けいれんの起こらない方法(修正型電気けいれん療法)が主流である。うつ病、躁病、統合失調症の急性期などに有効である。

Q.病状は良くなりましたか

「それで良くなったんです。良くなった、良い治療を受けたと実感したのは、そのあとからですけども、いろんな個性的なメンバーの顔と名前が区別できるようになって…。退屈な毎日だったのですけど、自分では最高の治療を受けたと思います。」

Q.他にどのような治療法を受けたのでしょうか

「主に服薬(薬物)療法ですけども、その薬の処方が自分に適切なのと、『こういう薬は飲みたくない』という自分の意思を伝えたら、それを反映してくれる、そういう病院だったと思います。

それから、担当の主治医がK先生と言うのですけども、そのK先生が、母親からわが家の家庭の状況を聞きまして、父親のことですけども、主に。こういう状況では良くないと判断しまして、ある日父親を呼び寄せまして…。父親は、昔かたぎの職人なので、ちょっと頑固なところもあるのですけど、そういう父親を噛んで含めるように、時には厳しく諭してくださいまして、それで父親も、精神病というのは根性論とは次元が違うんだということを理解しまして、それからは、自分のことを『根性なし』とか、そういうふうにはののしらなくなりまして、母親にも辛く当たることもなくなりました。ほんとにそのK先生には、一生感謝しています。」

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