「最初は、なんて言いますか、異常体験じゃないですけど、目が回っていました。入院して初めてドアを開けて、病棟に入れられた時の感想ですね。それで、なぜか本を読んだらネガティブな内容ばかりが目について、何か幻聴も聞こえてきたりして…。なんて言ったかというと、『お前はもう屑(くず)の一生を送らしてやる』という幻聴が聞こえて、それがすごく怖かったです。はい、初めての夜でした。
(病名は)神経衰弱だったのですけど、どちらかと言えば、僕は“うつ “に近かったと思います。1か月入院しました。(治りは)そうですね、中途半端だったですね。1か月入院したあとで、『再発した場合は、また相談に来るように』というふうに言われましたけども。」
「(退院後)1か月すると、少し元気になって、システム会社に入ったのですけども、システム会社というのはなかなか知的労働ですけども肉体労働でもありますので、長い時間拘束されますので、それが耐え切れなくなりまして…。郵便局の募集の試験があり、たまたまそれに運よく合格しましたので、郵便局に勤めることになったんです。
貯金保険課に配属されて、いろいろあったのですけれども…。自分が仕事を覚えて勘がつきだした頃に、中途採用だったものですから中途半端な時期に、研修所にやらされたものですから、帰ってきた時に勘が鈍っていて、しばらく、2〜3週間使いものにならない状態が続いて、それも悔いになったり、ちょっと郵便局の人間関係で悩んだりして、それがまた引き金になって、病に蝕(むしば)まれていったと思います。」
「妄想が出だしまして、最終的にはまたO病院を受診いたしました。その時にドクターのほうから、『あなたは、その妄想から逃れるためには、この病院に入院するしかないんです』と強く強制的に言われたんです。
で、職場のほうも、あとで調べてみたら、(あと)1週間ぐらいの日数で試用期間も明けて正職員待遇にもなりますので、それが明けたらゆっくり養生をして、閑職に回してもらったりという手続きもできたはずですけども…。
それで母親も、ドクターと(郵便局の)人事担当者から強く説得されてしまいまして、私に涙を流して、『入院しようよ。私のために良くなっておくれ』と、すがりついて泣かれたものですから、それにはさすがにちょっと抵抗できなくて、ちょっと不本意ながら、入院してしまったというふうに思っています。」