統合失調症と向き合う

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A.T.さん
香菜世さん
(かなよ)
1989年生まれの24歳(収録時)。中学生の時に症状が出現し精神科を受診する。中学・高校と学校でのサポートを受けながら学校生活を送った。家族(両親、兄・弟、犬が一匹)と同居し、働いたこともあったが、現在は家事を中心とした生活を送っている。自身の詩集(『ココにいるよ』、文芸社、2012年6月)を発行し、NHKのハート展で受賞した経歴をもつ。収録には母親も同席し、親としての気持ちも一部、掲載した。
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6病気を知る
Q.病名を知ったのはいつ頃ですか

「高校時代に、初めて退院した時の書類を見せてもらった時に、統合失調症という病名を見て、そこで初めて知りました。でもその時もやっぱり、『統合失調症ってなんだろう』という感じで。たしか入院中に統合失調症という病名を言っている子達がいたなあと思ったくらいで、その時も病識がなくて…。

やっぱり具合悪いなあと思いながら、なんとか通信制だったので、レポートは最初はやっていたのですけれど、後半はやっぱり寝込むことが多くなったりして、うまくレポートが作れなかったり…。ただ、自傷行為のリストカットはなくなっていて、そこは良かったなと思っているのですけれど。やっぱり高校時代も記憶があやふやなところが多くて、ダラダラダラダラ、レポートやりながら、家族に支えてもらいながら、卒業することだけを考えて過ごしていましたね。」

Q.病気について調べたことはありますか

「先生に聞くということはなかったのですけれど、母が新聞で見つけたコンボ(NPO法人地域精神保健福祉機構)さんの『心の元気+plus』という雑誌で、統合失調症の特集をよく取り上げているということで、創刊号から読み始めて、母が読んだ知識を私に与えてくれるので、そこからちょっとずつ病識が増えていきました。

そこで振り返ってみたら、見張られているような気がするということをよく中学時代でも病院でも訴えていたことがあって、『あれは妄想だったのか』だったり、『なんか悪口言われているような気がするなあ』とか、電車の中や街中で笑っている人を見て、『自分が笑われているような気がするなあ』というのは、妄想とか幻覚が混ざったりしているのかなあとか、ちょっとずつ病識として入ってきました。だから、一番の情報源としては雑誌が大きかったです。」

Q.病識ができたことで症状に変化はありましたか

「そうですね、私は、『これはこの症状だな』とか、『この見張られている感じは妄想だな、妄想なんだったら誰もいないから大丈夫』と、自己暗示で言いきかせたりすることをよくして、とにかく『大丈夫、大丈夫』の繰り返しでした。

それで、薬に頼ってばかりも良くないし、多剤投与というのも、雑誌で読んで知ったこと、単語だったのです。多剤投与は良くないんだというので、一番最初に行っていた病院が大きい病院だったので、先生を何回か変えてもらったりもしました。で、先生に薬のことは相談して、徐々に減らしていったりもしていきました。」

Q.症状は今もありますか

「高校の時もありましたし、今もやっぱり調子が悪くなってくるとちょっと出てくる時はあるのですけれど…。病識がある今では、『それは妄想、大丈夫』と言いきかせて、(それでも)だめな時にはちょっと頓服薬を飲んでみるとか、寝てしまうとか、趣味をやってみたりというふうに気を紛らわせて、対処するようにしています。」

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