1検診を受けたときのこと
「最初に私が診断されたのは、2001年の7月でした。ちょっと気になる痛みが続いたのです。乳がんはあまり痛くないというのが通説だったので、痛くないからたぶん乳腺症か何かだろうと思って、本来ならば乳腺外科を受診しなければいけないのに、健康に自信があったので、乳がん検診を受けたのです。本当にひどかったらたぶん言われるだろうと、試したという感じです。その頃はまだマンモグラフィが必須の検査ではなかったのですが、指触診で私の主治医になった先生は『これは要精密検査だね』と、もう単刀直入に言われたのです。もうこうなったら明日にでもハッキリしてもらいたいという気持ちで、翌日その先生の所に行って、今度は精密検査を受けました。その検査結果が8月6日に出て、そのときに細かいことまでは言われませんでしたが、ステージ2ぐらいで『手術をしないとちょっとマズイかな』というようなことを言われました。もちろん予約制の病院だったので、だいたい前後することがあっても、予約の時間に一般的には名前を呼ばれるのです。待合室から中の待合室に入って、そこから診察室に入るという手順を踏むのですが、私は中の待合室にも入ることができず、ずっと待合室で自分の呼ばれるべき番号札をもちながら、『なぜ私の番号があそこに出ないんだろう』と、そういう時間を過ごしていました。最初は『間違いだったかな、もしかしたら私の順番間違えて飛ばされているのかな』と思いましたが、それが10分待ち20分待ち、待合室に誰もいなくなったときに自分では一応確信をして、『これは、私の主治医は言いにくいことを言って時間がかかる若尾に(心の準備をする)余裕をくれているのだな』と思いました。」