「“がんになる”という最初の印象は、たぶんすごく辛いと思うんですね。私もそうなんですけど、今でも『がん』という言葉を口にするのがイヤですね、怖いんです。宣告された人はそれを聞いてすごく辛いと思う。この世の終わりみたいにも思うし、独りぼっちだ・・・って思うと思う。それと同じように家族もやっぱり辛いと思う。でも当事者と家族は、別の痛みをもつんですよね、共有はできない。それで患者は独りぼっちで悩むんですね。家族に心配かけたくないとか、家庭を暗くしたくないとか、言ってもしょうがないとか。独りになろうとするんですね。家族がもし心配してくれたとしても、その家族が健康であれば、何て言うかわからないけど『がんじゃないからそんな気休めが言えるのよ！』と、きっと言葉に出したり思ったりすると思う。でもそれは当然で、立場が違うんですよね。そういったときに、患者会とか同じ立場の人の意見だと、たぶん『がんばってね』という言葉も素直に聞けると思うのです。そんなときには、家族だけに対して辛い思いを言ったりとか回答を求めたりとか、逆に何も言わないで背を向けたりとか、そういう方法をとらないで、家族も自分と同じように辛いことを経験している仲間なんだって考えながら、同じことを経験した患者や患者会というものの存在をちょっと探して、話を聞くのはすごく救われると思うのね。乳がんに限らずそういったシリアスな病気の告知を受けたときには、結局は自分ひとりで何とかしなきゃなんないんだけど、同じような経験をした仲間は探せば絶対いるので、そういう人たちの話を聞いたり、そういう人たちと交流したりという機会を探してみるというのもひとつ楽になる手法かな・・・と伝えたいですね。」