がんと向き合う

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花井美紀 さん
(はない・みき)
父親の直腸がん闘病をきっかけに患者会の「ミーネット」を主催する。名古屋市と協働で名古屋市がん相談情報サロン「ピアネット」も運営している。会員は名古屋市内外から550〜600名。がんのピアサポーター養成講座を開催するなど、がん体験者だからこそできる支援の在り方を模索し、実践している。
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6患者サポート活動②
●ピアサポーター養成講座

「ピアサポーターの養成は、もう5年になります。最初は、募集をすると会員の中から名乗りをあげてということもありましたが、ホームページなどをご覧になれる方が増えてくると、ホームページでそういう紹介をすると、会員でなかった方からも参加や応募があるとか、病院にピアサポーター養成のチラシを置かせていただくと、会員ではないけれどもそこの病院の患者さんの目に触れて応募があるとか、そういうように広がってきました。

ピアサポーター養成講座の中で、がんの正しい知識を得るということがあります。『知る・学ぶ』という機会を通して、自分ががんと向き合う、心の持ちようなども非常に安定をしてきたということをよく聞きます。

それともう1つは、ご自分の、ただ辛いだけのがん体験と思っていたことが、他人のために活かせるということに気づいて、そして『がんになったことも無駄ではなかった』というようなことをおっしゃる方が、意外に多いです。

私たちはこの養成講座の中で、ある専門家から、ヘルパーセラピーの原則という言葉を学びました。それはどういうことかと言うと、『支援をする者が、最も支援を受ける』という言葉です。自分の体験を人のために活かす。そうしたプロセスを通して、目の前の1人の落ち込んでいた患者さんが明るい表情になっていくことで、自分は喜びを得る、やりがいを得るということで、自分自身のサポートにつながっている、そういうことだと思うのです。それは、皆さんが異口同音におっしゃる言葉でもあります。」

●ピアサポーター養成講座〈期間〉

「だいたい、今、1年間をかけて行っています。基礎講座が8回、つまり8日ありまして、その後、がんの種類別にがんの基礎知識を学ぶがん種別講座というものがあります。それからフォローアップがあり、病院内でのピアサポート実習がありということで、講座だけでも93時間ぐらいになります。」

●ピアサポーター養成講座〈受講費用〉

「最初は、助成金をいただいての活動だったのです。ですから最初は半年間だけでしたけれども、5千円という非常にリーズナブルなというか、低価で行うことができました。けれども、2回、3回と助成をいただきますと、もう事業ノウハウができるわけですから、あとは自分たちでやっていきなさいよということになるんですよね。だからその費用を捻出するのがなかなか大変です。非営利事業で何とか捻出をしてやっていこうということで、この4期目からそのような形でやっています。」

●ピアサポーター養成講座〈定員〉

「定員を30名としてあるので、お断りするのが非常に辛くてですね。また1年間待っていただかないといけないので…。

座学でスキルが習得できるものではなくて、やはりグループワークでいろいろなことをディスカッションして、語り合うところから何かに気づき、見つけていくというようなことを重視しています。それとロールプレイと言いますか、『1つのこういう問題を抱え、こういうご相談者が来ました。さてどういうふうに対応していくか』というような事例をもとに状況や相談内容を設定して、ロールプレイというところに一番時間をかけています。

これを、きちんとやっていこうと思うと、本当は30人でも多いぐらいで、20人とか15人が、我々の事業規模からいくと適当だと思うのですけれども、それでは、たくさんの方をお断りすることにもなります。それからやはり、同じがんの人と話したいという患者さんの要望をかなえるには、たくさんのピアサポーターがいないとやっていけないという現状もありますね。」