「画像で周りの状態をみて、『(腫瘍が)わりと骨盤に近い位置にあり、子宮にかかっているかもしれない。ひょっとしたら手術のときに子宮を取らなくてはいけないかもしれないから、婦人科の先生にも(手術チームに)入ってもらいます』と主治医に言われました。
実際開けてみたら、画像では重なって見えたのが意外に離れていたので、子宮は取らなくてよかったのですが、骨盤には近い位置だったらしく、手術のときに骨を削ったりしたそうです。うちの母親は手術のあとの話を聞いて『もう寒気がしたよー』と言っていました。今でも半年に1度CTを撮るのですけど、先生がいちばん心配するのは、『骨盤の奥のほうにできていたので、その辺に再発があると怖いから、最初にそこを見る』と言われます。」
「手術前の説明で、『ストーマ(人工肛門)は回避できるでしょう』と言われたので、うちの主人と一緒に、『人工肛門にはならないようで、よかったね』と言っていたのに、手術が済むと人工肛門になっていました。私はまだ麻酔で眠っていて、私の親と主人は先にそのことを聞いて、『自分たちもショックだけど、手術した本人にどうやって言ったらいいんだろう。先生は“回避されるだろう”と言っていたのに、何て言ったらいいんだろう』と思ったと思うのです。
麻酔が覚めたあと、ちょっとだけ家族と話ができる時間があり、そのあと先生も来て『実はね、どうしても、仕様がなくて人工肛門を作ったんだよ』と言われました。私は意識が朦朧としているのに、今そんなこと言うなんてずるいと思って。でもそれだけ聞いてまた眠ってしまったんです。
手術の翌日は土曜日で、先生は診察がないので来ないはずなのに、なぜか来て、『昨日の夜、僕が言ったこと覚えてる?』と言うから、『あ、人工肛門のこと言ってるんだ』と思って。なんか覚えているんですよ、そのことだけは。『あ・・覚えてます』と言ったら、『そう。そういうことだから』とそれだけ言って部屋から出ていくのです。『気にしてたのかな・・・』と思いました。
今はそんなことはないんですけど、もともと手術の担当の先生があまり好きじゃなくて。何かすごく冷たくて、淡々とやることだけをやるみたいな感じがつきまとっていたのですが、『そんな人でも一応、気にするんだなぁ・・・』とそのときに思いました。
でも手術も結構長くて、手術の説明をいろいろ聞いたうちの主人は、だいぶあとになって『本当に命を救ってくれたのは、あの先生だから』と言ってくれました。」
「私の場合、『リンパのほうには行ってなかったけれど、早期発見ではなく一応、進行がんなので』と言われました。大腸でも進行がんというのがあるのかと思うと、ちょっと怖かったですね。
(術後に)『抗がん剤を補助治療で』と言われて、手術を担当した先生が『やってもやらなくてもどっちでもいいです』と。『やったから再発しなかったとか、そんなことはないです。やっても再発する人はします。だから自分で決めればいいです』と言われたので、『そういうものなんですか』と思いました。
『抗がん剤は術後2週間目ぐらいから始めるのがいい』と言われたのですけど、2週間なんてとっくに経っちゃっていて、『やってもやらなくてもどっちでもいいのかな』というのはありました。実際(飲み始めたのですが)、薬が本当に高いんですよ。小さい1粒が2000〜3000円して、とにかく何時間おきかに飲むのを3〜4週間続けて1週間休み(で1クール)というふうなのです。お金も結構かかるし、高いお金を払って、なおかつひどい副作用で『いいとこないよね』というのはありました。先生が『飲んでいても再発する人はするし』というのが頭にあり、『まあ、飲まなくてもいいや・・・』と勝手に決めて、先生に『もう飲むのやめていいですか』と言って(1クールで)やめちゃいました。先生も何も言わなかったので、何も言わないということは、(やめても)いいのかなと思ってやめてしまいました。」
「副作用がとてもえらかったんですよ。なので、あんまり不安は・・・。先生に『やめます』と言って、先生も『ダメだよ』と言わなかったから、『まあ、いいんだろうな』と。『え、やめちゃうの?』と言われたら、『じゃあ、飲みます』と言ったかもしれないですけど、『あ、そう。じゃあ、まあいいよ』という感じだったので、『それぐらいだったら飲まなくてもよかったのかもしれないな』と、それは自分の判断ですね。」
「ある日、明け方にすごく気持ち悪いんですよ。もうトイレから出れないんです。『どうしよう・・・』と思ううちになんとなく吐き気は治まったので、『今日、ちょっと仕事休むわ』と思って、寝て元気にはなったんです。元気にはなったんだけど、食べられない。食べ物が口のあたりまで来ると『ん、いらない。元気なのに食べられない、何なんだろうこれ』と思って。
抗がん剤を飲む前に先生が『副作用として、下痢になるかもしれないし、気持ち悪くなるかもしれないし・・・』といろんな薬をくれたのです。でも薬も飲める状態じゃない。とにかく口に入るものが口元に来るだけで『もういい』と気持ち悪くなっちゃうので、『病気を治療する前に、副作用でやられるかな』と思いました。でも実際、点滴の抗がん剤をしてみえる人はそんなものじゃなく、もっと副作用が強いと思うので、私がこんなことを言ってはいけないんですけれども。やっぱりだいぶ甘えがありますね。
しかも食事の前後1時間は確か飲んではいけなかったので、それに合わせて仕事に行くと、会社に着いたぐらいに飲むのですが、『仕事場で抗がん剤を飲むって、変だな・・・』と思いました。でも時間的にそうしないとダメなので。薬の効きがいいとか悪いとかあるんでしょうね、きっと。そういう薬でした。」