「ずいぶん昔、仕事場に嘱託で働いていたおじさんが『馬に乗ると、世の中変わって見えるぞー。高いところから見るとちょっと気分がいいぞー』と連れて行ってくれたのです。一度ぐらい乗ってみたいじゃないですか。それがきっかけだったのですが、『なんてお尻が痛くてしんどいスポーツなんだろう』と思って。でも1週間ぐらいしたらまた乗りたいんですよ。『ああ、馬ってすごくきれいでかわいかったな』と思って。それ以来ですね。ちょこちょこと乗りに行っています。」
「馬に乗っているときに(ストーマから中が)出てきてもらっては困るんですよ。なので馬に乗る前は一食抜きます。最初あまり考えていなかったんです。ずっとお腹の調子も悪いし、『これでは馬も乗れないし困ったな』と思っていたら、同じストーマの患者さんが『スーパー銭湯に行っている』と言うので『えっ・・・スーパー銭湯行けるんですか?』と聞くと、『ストーマを隠すシートを貼って、行っている』と言うんです。『中、出てこないの?』と聞くと、『行くときには一食抜く。好きなことをやろうと思ったら自分も努力しなきゃ』『ああ、そうか』と思いました。
だから『馬に乗ろうと思ったら、一食抜けばいいんだ。自分でもある程度歩み寄らなければ、やりたいことは続けられないな』と思いました。その方がそうやって『結構行っちゃってるよ』と言うので『あぁ、そうなんですね』と嬉しくなっちゃって。馬はずっと乗りたいなと思っているので、乗る前は一食抜いて『終わったら食べよう』と思って行っています。もう慣れてしまったら、なんとも思わないですね。」
「当初は、別に走り回らなくても、歩いているだけでも本当に癒されるので、まぁ乗ってましたね。『格闘技以外は何をやってもいい』と先生は言われるので、いいのかなと思って乗っちゃってます。馬はしゃべらないけれども、かわいいというか、私にとっては本当に癒されるので、また乗れるようになってよかったと思います。馬仲間にも恵まれていると思います。」