3兆候について
Q.激しい症状が出る前に何らかの兆候はありましたか
「今思い返しますと、この事件の以前にも、発病の兆候はありました。大学4年生ですから22歳です。新学期が始まって、その直前とか、もしくは始まっていないのに通学し始めた時です。
それまでだったらそんなことをする人間ではないと思っていたのですけども、清掃が終わった電車内に乗り込んでいって、いきなりゴミなどを捨ててしまった。当然、前に座っていたご婦人が注意するのですよ。そうすると、それに『なんだあ』みたいな感じで刃向かって、反感を買ったり……。もしくは、新学期が始まって、楽しくてウキウキしてしょうがないのですよ。この幸せを誰かに分け与えたいみたいな感じになりまして。そんなことで、はしゃいでいたりして、おかしかったと思います。
大学に通学しながら、やはり視線が気になっていて、あの人も見ている、この人も見ているみたいな…。でも今から思いかえせば、本当に見られているのだと思うのです。当然自分の行動がおかしかったから、見られていたのだと思うので。見られているという感覚は、多くの精神障害者が発病の時に体験すると思うのですけども、やはりそれは、ただ見られていると本人が感じている(だけ)ではなくて本当に見られているのだと思います。」