統合失調症と向き合う

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福田一夫さん
福田一夫さん
(ふくだ かずお)
1969年(昭和44年)生まれの45歳(収録時)。大学4年生の時に発症し、3回の入院を体験する。大学卒業後、就職するが病気の再燃により退職。その後、大学院に入り勉学に勤しみ、現在は清掃会社に勤務している。勉強することが好きで、日本経営学会の一員として経営学の研究をしたり、放送大学などで聴講している。一人暮らし。収録時、襟元には日光彫りのループタイが結ばれていた。
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19メッセージ
Q.同じ病の方やご家族へメッセージをお願いします。

「メッセージなんていうのはとてもおこがましいのですけども、当事者・ご家族の方だったら自分に正直に、素直になって生きるのが良いのではないかと思っています。人生はやり直すことができないし、その意味で自分のやりたいことをするためにあるのだと思います。

本人にとって病気になったことは手かせ足かせだし、その病気の原因の障害というのは、一生つきまとってしまいます。ご家族の方だったら、ここで隠したいというのは、当然の感情で人情ですから、誰も否定したり邪魔することはできません。ただ重要なのは、障害を出すことによって、生きやすさが発生することとか、またかえって生きづらくなること。また障害を隠して生きることの生きやすさと生きづらさ、このようなことをいろいろ考えて、自分の条件に照らし合わせて、いちばん良いような生き方を選択していくのがいちばん良いのではないかと思う。

私のように、自由勝手に生きているというかやっていられるのは、誰にも気兼ねがないからなのですね。で、自分自身もいろんな条件があって逃げることができなかったとか、認めて生きなければならないような条件が整ってしまったから、こうなっているだけで、そうじゃなかったらそんなことはできなかったかもしれません。

だから、みんなそれぞれの条件があるので、私から、完璧にこうしたほうがいいとかは言えないのですけども、やはり自分に素直になって、自分の無理しない生き方をしていってほしいと思います。

いろいろなところで暴言を吐いたり、困らせたりいろいろしています。その多くは医療関係者であったり、福祉関係者です。私みたいなものを許してくれて、つき合ってくれて、今も支えてくれてほんとありがたいです。これからもよろしくおつきあいをお願い申しあげたいと思います。」

Q.今の楽しみは何ですか

「今の楽しみは先ほども申しましたように、経営学を研究することですね。これがいちばん楽しいですね。で、私ははっきり言って、文章を書くのが好きなのです、いちばん。昔から好きだったのですけども。文章書きで食っていきたいなと強く思っていたのですよ。

そういう才能がないから、学術の世界に入っていって、それが書けた時にはいちばん最高に嬉しくて…。あとは、矢沢永吉のステージを見に行ったりすることですね。ほんと、それが楽しみです。」

Q.今回、インタビューにご協力くださった理由を教えてください

「いちばんは自分のためです。で、結果としてこのインタビューを見ていただいた方々が精神病についてちょっとでも理解が深まったり、または、当事者の方だったりご家族の方だったら、こんな変な人、障害者もいるんだみたいな感じで、微笑んでもらえたり、思いのほか参考にしていただいたり、さらに言うならば、何か勇気がもらえてとか、伝わるようなことがあれば最高だと思います。

私としては、このインタビューを通して、自分の今までの人生というのを整理できましたし、また新たな気持ちで、明日から自分の人生を歩んでいける土台ができたのだと思っています。で、なにより、インターネットの動画サイトということで、まあ、絶対そんなことはないでしょうけども、全世界の人が見るわけで、何か意見がもらえるかもらえないか分かりませんけども、(意見を)もらえるとするなら真摯に向きあって、さらに自分の人生に役立てていきたいと思っています。

自分の人生の考えとして、『人にまっすぐに、心にまっすぐに』みたいな感じで自分に素直で、まあ、青いと言われようが何しようが、そういう生き方、愚直で生きたいと思っていて…。相田みつをさんのレプリカで、自分で気に入ったものがあって、『一生勉強 一生青春』という言葉があります。あとは、『しあわせは(いつも)じぶんのこころがきめる』。そういうものがあって、自分で気に入って買ってきて飾っています。

最後には、私からの質問があるのですけども。体験談というのは1つの人生であって文学だと思っています。真剣に言葉を選んだりして、勝負したつもりなのですけども、この勝負に私が勝てたかどうかということを、おこがましくも聞いてみたい。で、記録としてこういうものが残せたことに、ものすごく乾杯というか嬉しいなと思っています。最後までほんとにおつきあいいただいてありがとうございます。『サンキュー』です。」

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