「基本的には変わらないのでしょうけど、以前に比べて、若い精神科医が診療にあたることが多くなってきていますよね。そうすると、まあ、昔からよく言われていることですけども、三大質問、『食べられていますか?寝られていますか?何か心配ごとはありませんか?』とか、そういうことを聞くだけで、30秒もかからないで診察が終わってしまって、自分が考え、悩んでいることに全然相談に乗ってくれないというような診察風景は、昔は結構あったのですよ。で、今もそういうのはあるのですけれども、以前に比べてそういう風景が少なくなってきているのではないかと思っています。
だからいきなりそういうふうな質問をして、カルテにただ書いて終わりというのではなくて、最初から『何か話したいことはありますか?』みたいなスタンスで向きあってくれる先生が多くなってきているのではないかと思います。」
「今、地域移行ということが叫ばれていて、結構実施されていると思うのですけども、私の見ている限り、本当に地域に出たと言えるのか言えないのか分からないのではないかと思うのです。多くの場合、グループホームに病院から出ていくわけなのですけども、そのグループホームが人里離れたようなところにしか建っていなかったり、またその病院が経営しているグループホームだったりして…。
病院の経営しているグループホームだったら、昼間、毎日、今度は病院のデイケアに通いなさいという条件で出るのです。そしたら、はっきり言って『夜寝る場所が変わっただけなのではないかな』みたいな感じで、この類の話は、市の障害者自立支援協議会でも話題になったのです。まあ、それははっきり言って、地域に移行したとは言えないでしょというような話でまとまったのですけども。
われわれも地域に暮らす障害者で、こういう流れというのは世界中の新しい潮流ですから、日本だけがそれに取り残されていくというわけにいかないのだと思います。まあいろいろな解決方法もいろいろな事例とか、いろいろなものを考えていかなければならないと思っています。」