統合失調症と向き合う

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福田一夫さん
福田一夫さん
(ふくだ かずお)
1969年(昭和44年)生まれの45歳(収録時)。大学4年生の時に発症し、3回の入院を体験する。大学卒業後、就職するが病気の再燃により退職。その後、大学院に入り勉学に勤しみ、現在は清掃会社に勤務している。勉強することが好きで、日本経営学会の一員として経営学の研究をしたり、放送大学などで聴講している。一人暮らし。収録時、襟元には日光彫りのループタイが結ばれていた。
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12現在の治療について
Q.現在服用している薬と相性などを教えてください

「現在、服用している薬の主成分はリスパダールです。リスパダールを常に、決まった量を飲むのではなくて、頓服薬としてかなり多く出してもらっています。で、自分で『ちょっとやばい』というか何かを感じた時に、その都度自分の判断で適量を飲んでいます。その他にデパケンとか補助的に安定させる薬。こういうのを組み立てて、1日の薬が成り立っているわけです。

心理状態・心や感情のセルフコントロールが基本にあります。そういったことは、今自分で、独学してきたわけですけども、そういったことを、精神医学とか、臨床心理学とか、そういったものの理論に基づいて自分なりに自分が自分に施せる認知行動療法みたいなものを開発しまして、これを自分でやってみてだめな時に薬を飲もうとしています。そうすると薬を最小限に抑えることができますね。

この過程では、主治医に、自分の学んだこととかが正しいかどうかということを確認したり、当然放送大学に行っていましたから、放送大学の学問にもそういうのがあります。質問表を送って確認したりして、自分の読み取った理解が正しいのか正しくないのか。それを今度は主治医に確認して、それを実施していいのかいけないのかを確認して、許可を得ながら進めてきました。ま、一つの統合失調症の治療の到達点なのだと思います、セルフコントロールというのは。

常に、先生によると、『私が出した薬をそのまま飲みなさい』という先生が結構いるのですけども、それははっきり言って、先生が常に横にいるわけではないのです。私達は、社会に野放しになっていて、常にいろんな状況が変わってきます。その中で病状も変化していきます。それに適切に対応するためには自分で勉強しないと対応できない。で、自分で薬もコントロールできないと、その時に対処できる薬を適量、適切に使うということもできない。こんな考え方を、ずっと延々と昔、話しまして。で、当時の主治医が、『それでは分かりました』ということで出してくれて、あとは自分で考えてやってくださいということになっています。

で、いちばん驚いたのは、運転免許の更新の時です。普通、期限つきですよね。(主治医が)『今後一切、運転支障が出る症状が現れない』と断言して診断書を書いたのですよ。毎回毎回、一応、更新の時に適性検査には電話するのですけども、診断書が出ているので必要ないということで、3〜4回(運転免許を)書き換えていますけども、一切診断書を出さないで書き換えています。」

リスパダール(リスペリドン):非定型抗精神病薬
デパケン(バルプロ酸ナトリウム):気分安定薬、抗てんかん薬

Q.薬の副作用はありますか

「(以前は)ありましたね。立ちくらみがあって、めまいがあって、1日に30回とか40回とか倒れちゃったり、まっすぐ歩けないでふらふら、よたよたと歩いていたり、普通だったら15分ぐらいしかかからないで行けるところが3時間かかっても行けないとか。

今は大丈夫です。でも、時たま、強いストレスがかかると、やはり体温のコントロールができなくなったりしますね。自律神経の失調ということで、2年とか5年のスパンで診てもらって、10年間ぐらい経った時に、治っていれば治っていた、治らなかったらそれまでと言われました(笑)。」

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