がんと向き合う

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東 千佳子 さん
(あずま・ちかこ)
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1970年滋賀県生まれ。2001年よりオーストラリアに住み、永住権を取得し仕事も順調だった。2010年、腹痛より大腸がん(ステージ4)が見つかる。術後、感情を失い、専門家のカウンセリングを週2回受け、次第に落ち着く。1ヵ月後日本に帰国し、実家から通院。家族、友人、患者会のサポートもあり徐々に自分を取り戻す。2012年にiPad2を購入、日記をつけ始める。6月から文鳥を飼う予定。
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9オーストラリアで感じた死生観
●病気や死は生活の一部

「たぶん日本とオーストラリアとでは『死』に対する考え方が違う。私は宗教は全然信じていないんですね。ただオーストラリアは基本的にキリスト教が主体で、私はそんなに信心深い人と知り合いではないですけど、彼らは死とか病気というものをすごく身近に考えている人たちなんです。というのは、意識が違うと思う。日本人はどっちかと言うと、(病気や死は)怖いからのけちゃう。でも向こうの人は生活の一部として普通に受け止めているんです。たぶん『死』というものをそんなに恐れていないというと変ですけども、『病気や死を包括して生活している』というところが全然違うと思いました。

日本は『病気を社会から疎外する』考え方が非常に強いと思うのです。私の今の状況はがんで障害者ですよね。社会の弱者を見たくないから押しやってしまう社会だと思うんです。

10年前に私がオーストラリアに住みはじめて、はじめに気づいたのが、障害者をしょっちゅう見るんですよ。たとえばダウン症の方や車いすの方を、しょっちゅう見るんです。よく見ると、帽子をかぶっていらっしゃる方もいて、たぶんがんの治療かなというような方も結構見るんです。日本だとなかなか見ないですよね。医療基準が同じだから、根本的には同じ割合いるはずなんですが、オーストラリアは表面に出てくるんですよね。日本は家の中にこもっちゃっている。だから、根本的に考え方が違うのでしょうね。」

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