がんと向き合う

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東 千佳子 さん
(あずま・ちかこ)
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1970年滋賀県生まれ。2001年よりオーストラリアに住み、永住権を取得し仕事も順調だった。2010年、腹痛より大腸がん(ステージ4)が見つかる。術後、感情を失い、専門家のカウンセリングを週2回受け、次第に落ち着く。1ヵ月後日本に帰国し、実家から通院。家族、友人、患者会のサポートもあり徐々に自分を取り戻す。2012年にiPad2を購入、日記をつけ始める。6月から文鳥を飼う予定。
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13世界がぽっと開くとき
●患者会との出会い

「病院の相談支援室に行って、いくつかパンフレットをもらった中にあったのがNPO法人ミーネットという患者会のものでした。でも実際、半年は自分でコンタクトをとらなかったのですね。ホームページは見ていたんですけど。自分で連絡をとるというのは敷居が高いものでして。

それで(コンタクトをとろうかどうしようか)ずっと考えていたら、ミーネットが(私が行っているがん専門病院の)院内サポートをはじめたんですね。院内サポートというのは、事務所で自分たちが待ってるだけではなくて、自分から病院に出かけて、そこに半日いてくれるんですよ。『がん相談承ります―ミーネット』と書いてあるんですね。私が通院した日が、たまたまミーネットの院内サポートの初日で、『あ、これは絶対縁だ』と思って、それですぐに話を始めたんです。」

●同じような体験をした女性に会いたい

「正直、自分の年代で女性の大腸がん患者に会いたかったんです。でも40歳で大腸がんてなかなかいないんですよね。確率的に低いし、しかも私はストーマなので、自分と同じような人に会いたくてしょうがなかったんです。やっぱりそのときは『まれな病気になった。自分は不幸だ』という気持ちがすごくあって、孤独感が高かったんですね。とにかく会いたいと思って。

それでミーネットに行ったら、私よりも若いサポーターの方(体験者)がいたんですよ。会えたのが1年ぐらい前ですね。本当にびっくりしました。

彼女たちはストーマはなくて、大腸がんなんですけども、やっと自分のことをわかってくれる人に会えたという気持ちでした。『ああ、自分みたいな人がいるんだ』とまず安心したんですね。

それはやはり、がんをやった本人だとわかることで、正直なところ、家族もやっぱりがんではないので、わからないですね。やっぱり全然違います。」

●やっと自分らしさが戻ってきた

「病院でミーネットと会うことができて、『これは絶対ついてる』と思ったんですよ。それで患者会ブーケもずっと『どうしよう、どうしよう』と思っていたけど、『最近何かついているから、ブーケも』と思ってブーケに入りました。それでまたひとつ世界がぽっと広がった。

私にとって去年(2011年)は患者会ミーネットに行ったことで大腸がんの方と会うことができてひとつ世界がぽっと開いて、今度はブーケに行ったことで全くひとつ別の世界がぽっと開いて。それでやっと自分らしさが戻ってきたんだと思います。自分が属する場所というのがわかってきたのです。すごく孤独だったのが、自分と同じような人がいるというのは、やはりすごく安心しますね。」

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