がんと向き合う

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東 千佳子 さん
(あずま・ちかこ)
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1970年滋賀県生まれ。2001年よりオーストラリアに住み、永住権を取得し仕事も順調だった。2010年、腹痛より大腸がん(ステージ4)が見つかる。術後、感情を失い、専門家のカウンセリングを週2回受け、次第に落ち着く。1ヵ月後日本に帰国し、実家から通院。家族、友人、患者会のサポートもあり徐々に自分を取り戻す。2012年にiPad2を購入、日記をつけ始める。6月から文鳥を飼う予定。
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15抗がん剤治療にかかる費用

「抗がん剤が非常に高くて、いちばんはじめに受けた抗がん剤の領収書が10万円だったんですね。10万円て、桁が違うのかと思ったんですよ。1回の抗がん剤で10万円。医療費の自己負担が3割なので、実際はたぶん30万円だと思うんです。今はその場(病院の会計窓口)で払わなければいけないので、いったん10万円払って、あとから役場に対して返済してもらうように、母が手続きしてくれています。

2012年4月から高額療養費制度が改正になるみたいで、今度は『差額を払うか、もしくはそれ以上になると窓口ではもう払わなくてよい』ことになるそうですが、抗がん剤は高いですね。」

Q.もしオーストラリアで抗がん剤治療を受けていたら?

「全部ただです。私の友人も何人もいますけど、全部ただ。ほとんど払わない。たまにCTスキャンやレントゲンでお金を払うぐらいで、全部ただですね。

ただ、お金を払うということはすごく負担なんですけど、それだけ真面目になりますよね。自分のお財布から出ていくわけですから。3割でもかなりの負担なので。私もこの治療をずんずん続けていくかというと・・・。

私は両親が健在で恵まれていると思うのですが、みなさん家庭の事情もあるし、仕事がなくなったり、仕事をしなければいけない人もたくさんいますよね。そういう働き盛りの年代のがんの人が本当に増えていて、非常に医療費が高くて、そのために治療の継続をやめてしまう方もいるし、仕事を無理にしなくてはいけない方もたくさんいる。そう考えたときに、もう少し行政、もしくは企業が負担してくれてもいいんじゃないかなと思うのです。今の状態だと、100人が100人同じ治療を受けられるかというと、いろんな制約があるから受けられない。でも、それは公平じゃないと思う。」

●行政と企業で助けていく社会

「特に40代とか働き盛りでがんになってしまうと、なかなか企業で雇ってくれないですよね。辞めなくてはいけなくなった人はたくさんいるので、その部分は企業と行政が助けていくべきだと思います。社会に参加してこそ人間は人間だと思うので。

特に若年のがん患者が増えている、その若年の人たちの生きがいというのは、結構仕事だったりすることが多いので、やっぱり仕事がなくなるのはすごくつらいんですね。生きがいがなくなってしまうので。その生きがいを残すという点でも、社会は仕事ができる環境を作っていくことがすごく重要だなと思います。特に若い方ににとっては、先が長いですからね、10年、20年と治療を続けて頑張っている方がいますから。」

Q.今、お仕事はされていますか?

「していないです。今、私は元気ですけども、抗がん剤をすると1週間ぐらい寝ていることもあるので、正直、現実的ではないと。だから今は仕事を全くやっていないです。」

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