がんと向き合う

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●大腸がんの標準的治療
腹腔鏡手術

図8-1
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腹腔鏡手術では、まずお腹に1cm前後の穴を開けて、そこからカメラを入れてお腹のなかを観察し、それをテレビモニターに映し出します。そして、そのテレビモニターを見ながら、いくつかの小さな穴から入れた細長い鉗子(かんし)という器具でがんの手術を行います(右図)。

がんの手術ですから、もちろん開腹手術と同じ範囲のリンパ節や腸を切り取ります。つまり、がんの手術として行う内容は、開腹手術と腹腔鏡手術で違いはありません。ただし、小さな穴から入れた器具を使って、モニターを見ながら手術をしますので、外科医にとっては非常に高い技術が必要になります。

Q.切り取ったがんは、小さな穴から残さず取り出せるのでしょうか?

切り取ったものはその1cmの穴からは出ませんので、取り出すためにだいたい5〜6cmの傷をつけます。ただし、その5〜6cmの傷はなるべく目立たないところに、痛みが少ないような切り方で傷をつけます。

腹腔鏡手術のよい点は、やはり患者さんの体の負担が少ないということです。傷が小さいので痛みが少ないですし、そのため手術後は体力が早く回復します。食事も早くから食べられるので入院期間が短いですし、社会復帰も早くなります。

ただどうしても、医師が腹腔鏡手術の技術を習得するのに時間がかかりますし、高い技術力が要求されます。手術時間も開腹手術よりも少し長くかかります。また、いろいろな器具を使うので、お金(医療費)が(開腹手術よりも)かかります。

Q.腹腔鏡手術を受けられる施設は増えているのでしょうか?

多くの施設で腹腔鏡手術が行われるようになってきましたが、それでもまだ、大腸がん手術をしている全ての施設で腹腔鏡手術ができるというわけではありません。また、どの大腸がんにも腹腔鏡手術ができるというわけではありません。『大腸癌治療ガイドライン』で奨めているのは、ステージ1、ないしはステージ2のうち早い段階のものです。さらに進んだものに関しては、本当に腹腔鏡手術がよいのかどうかを調べるために、現在臨床試験を行っています。また直腸がんの場合は手術が難しくなりますので、それを腹腔鏡手術で行える施設もやはりまだ少ないと思います。

Q.腹腔鏡手術に向かないのはどのような場合でしょうか?

昔、別のお腹の手術をして癒着がある方では、腹腔鏡手術は難しくなりますので、高い技術を持つ慣れた先生でないと手術ができないということになります。

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